2019年8月9日金曜日

BOSSの新デジタル・ディレイ DD-200緊急レビュー

発売日が今日だということをうっかり忘れて公開が遅くなってしまいました。大変失礼致しました。

すでに200シリーズの4ラインナップが発表になっておりますが、グラフィック・イコライザーの「EQ-200」と、このデジタル・ディレイ「DD-200」が先行して発売されました。例によってスペックやマニュアルは公式サイトで既に公開されています。こちらでは実際に使用したみた印象をレポートします。



スペックの確認やマニュアルのダウンロードはこちら→BOSS DD-200公式サイト

サイズ感

実際のサイズを他の現行モデルと比較してみました。


DD-500:幅 (W)170 mm奥行き (D)138 mm 高さ (H)62 mm
DD-200:幅 (W)101 mm奥行き (D)138 mm 高さ (H)63 mm
DD-7 :幅 (W)73 mm  奥行き (D)129 mm   高さ (H)59 mm

DD-500とほぼ同じ奥行きと高さ。DD-200は幅が狭くなっています。


コンパクトのDD-7と比べると、二回りほど大きいサイズに見えます。INPUT/OUTPUT端子などは側面(横)では無く、上部(奥)側にあります。


実際にボードに置いてみました。以前にDD-500を置いていた場所に設置すると200シリーズを2台並べて置くことができます。


重さは、DD-200以外のカタログ表記では電池を含んだ数値になっているようです。電池を外して実測してみると…、

・DD-200:610g(これはカタログ・スペック)
・DD-500:約900g
・DD-7   : 約400g

DD-200はかなり軽い印象です。ボードに入れるのに丁度良いサイズですね。ただ、質量の数値には誤差があると思われますので、ご参考までということでお願いします。

サウンド

サンプリング周波数96kHz、AD/DA変換32bitのスペックを誇ります。DD-200とDD-500の同じモードを選び、実際に音出しして比較してみると非常に近い音質&音色と感じました。

モード数=12個とDD-500と同数ですが、内容は少しだけ異なります。「DUCKING」や「LO-FI」、「PAD ECHO」に加え"Binson EchoRec2"のモデリング「DRUM」もダイレクトに選択可能。DD-200でも充分なバリエーションをセレクトできます。一方、DD-500からは「FILTER」と「VINTAGE DIGITAL」が省かれています。さらに、各タイプ内の細かいパラメーターも省略されていますが、DD-500のような膨大なパラメーター操作が必要無いなら、むしろDD-200の方が扱いやすいと感じるかもしれません。


ノブはディレイ・タイプをセレクトする「モード」の他、「TIME」(押すことでTempo表示切り替え)、「FEEDBACK」、「E.LEVEL」、「TONE」、「MOD DEPTH」、「PARAMETER」の7個。「PARAMETER」にはタイプに合わせて効果的なものが自動的にアサインされます。例えば、「STANDARD」を選んだときは、ディレイ音の立ち上がり具合を調整することで「SLOW ATTACK」的な効果(DD-200にはモードとしての「SLOW ATTACK」はありません)を得たり、「TONE」と組み合わせて目立ち過ぎるディレイ音をオケに馴染むようなサウンドにすることも簡単です。


操作性

マニュアルと4つのメモリーを切り替える仕様は、ツイン・ペダル・シリーズの「DD-20」などでお馴染みの仕様。「MEMORY/TAP」スイッチを長押しすることでTAP入力が可能。「TAP DIVISION」ボタンで音価を変更します。

サウンド・メイクに関する全てのパラメータはノブだけでセッティングが完了するシンプルな構成。各コントローラー(フット・スイッチ類)のアサインやキャリー・オーバー(メモリー切り替え時にディレイ音がが途切れない効果)のON/OFFなどのシステム・パラメーターは「TAP DIVISION」と「MEMORY」を同時押しすることでアクセスできます。スイッチャーを併用する場合なら、本体のエフェクトのON/OFFスイッチは不要になりますから、別の効果をアサインしても便利そう。僕なら「WARP」を常用したいところです。

「MEMORY」ボタンを長押しで設定を保存。「TAP DIVISION」ボタンの長押しで、本番などで誤動作を防ぐための「パネル・ロック」機能を起動できます。

DD-500はパソコン用のエディターが用意されていますが、DD-200にはありません。まあ、本体の操作がとても簡単なので不要でしょう。

MIDI関連

別売のちょっと特殊なケーブルを使う必要がありますが、他のモデルとのMIDI接続が可能です。外部からのプログラム・チェンジでメモリーを切り替えられるのは勿論、CC(コントロール・チェンジ)情報で各パラメーターを制御したり、テンポを同期させたりできます。USB端子はプログラム・アップデート専用とのこと。DD-500のような強力な「バージョン2」などが公開されるんでしょうか?期待したいところです。



どんな人にオススメ?

以上のことを踏まえてまとめると…、

・省スペースで多機能なディレイが欲しい。
・シンプルで簡単な操作が好み。
・サウンドの品質を重視したい。
・1台で多くのモードを切り替えて使いたい。
・ライブなどで異なるセッティングを瞬時に呼び出したい。
・DD-20の操作に慣れていて、内容をグレードアップしたい。
・スイッチャーやマルチなどでMIDI制御したい。

なんていう方にはピッタリなモデルです。今後、僕もメインで使ってみようと思ってます。

-------------------------------------------
グラフィック・イコライザーの「EQ-200」も同時発売。こちらも面白い機能が満載の、他にはちょっとないタイプの製品。もう少しいろいろ実験して、このブログでレポートするつもりです。乞うご期待!!

2019年8月4日日曜日

BOSS SY-1レビュー ~ ファースト・インプレション

ギターを弾くだけで手軽にシンセ音を楽しめる画期的なモデル=SY-1。BOSSさんからお借りできたので早速、テストさせていただいています。どんな内容か気になっている人も多いのではないでしょうか?充実したサウンドと機能を備えた期待以上の仕上がりになっていますよ。

概要やスペックなどはこちらでどうぞ!→公式サイトへ
取扱説明書もすでに公開されています。→サポート・ページへ



SY-1の発音の仕組み

GKピックアップを使用するGRシリーズとは異なり、SY-1はギターからのノーマルな信号をシンセサイザーのような音に変換するエフェクターです。以前にご紹介したSY-300は、ユーザーが3オシレーターを自由にブレンドし、大量のパラメーターで多彩なサウンドを構築できる製品。それに対し、SY-1は121種類ものプリセット・トーンを呼び出し、必要最小限のパラメーターだけで誰でも直感的に音を作っていくことができる設計になっています。それでいて、サウンド面の妥協は一切ありません。単音だけでなく、コード・プレイにも問題無く対応します。パッド系やストリングス、オルガンなどのサウンドを、普通にギターを弾くだけで楽しむことができます。



実際にプレイしてみると…

実際に音を出してみると想像以上に面白い音を作り出すことができました。その印象をまとめてみましょう。

1. ピッキングに対しての反応

レーテンシー(音の遅れ)やトラッキング(意図しない音が発音されてしまう)の問題は皆無。ピッキングの強弱によるサウンドの変化もきわめてナチュラルです。コードやアルペジオを弾いたときなどでもフレーズに完全に追従して発音されます。

2. サウンド

タイプを切り替えるだけで美しいパッドやベル系からエグいリード・サウンド、インパクトのあるSE的なサウンドまで、次々に面白いサウンドが飛び出してきます。シンセ音なので、ライン接続でもOKなのですが、個人的にはそのままギターアンプから再生したサウンドもかなり使えると思いました。キーボード・タイプのシンセのサウンドそのまま、とまでは言えませんが、逆にSYシリーズならではのユニークなシンセ・サウンドとして確立していくような気がします。

公式サイトでは内蔵されている全てのシンセ音が視聴可能 → SY-1 SYNTHESIZER Sound Tryout

注意深く聴くと、いくつかのサウンドがレイヤーされて発音されているのがわかると思います。

3. 操作性

【DIRECT】&【EFFECT】ノブでノーマルなギター・サウンドとシンセ・サウンドを簡単にミックスできます。【TONE/RATE】と【DEPTH】はセレクトしたタイプによって自動的にアサインされます。どちらかといえば、フィルター系のパラメーターが多い印象。


SY-1を使う醍醐味はシンセの代用としてだけではなく、オクターバーやピッチシフター、コーラスやディレイといったエフェクターと同様に、原音にエフェクト音を追加するギターエフェクターとしての可能性ではないかと感じます。コンプ・クリーン系とストリングス、アルペジオ+ベル、ディストーション系リード+シンセ・リード、パワーコード+シーケンス・フレーズなど、キーボード不在のギターバンドにひと味違ったサウンドを加えるのに最適なアイテムとなりそうです。

SEND/RETURN端子を使用することで、歪み系などの外部エフェクターを分岐することができます。歪みサウンドとクリーンなシンセ音をミックスする場合などで活用できます。

4. コントローラー

本体のペダルを長押しすることで得られる「ホールド」や「EXP/CTL」端子に接続したペダルやフットスイッチによってさまざまな効果を加えられます。「ピッチをオクターブ上げる」、「フィルターの掛かりをリアルタイムに変化させる」、「シーケンス・フレーズなどのテンポを入力する」などの効果を加えられます。音に動的な変化をつければ、さらなる表現力のアップにつながると思います。写真ではEV-30を接続しています。



5. 拡張性

現在、BOSSのスイッチャー「ES-8」を載せたボードにSY-1を組み込んで試しています。コンパクトな筐体なので、場所を取らずスッキリと搭載できるのがイイですね。SY-1本体のSEND/RETURN端子に歪み系などを接続すれば、前述のようにシンセをミックスしたサウンドを出せるのですが、ES-8のループに組み込んで、パラレル(並列)接続をすることで、他のエフェクターとの組み合わせを自在に試すことができます。


複数の歪み系の組み合わせを切り替えたり、ギター音にだけエフェクトを掛ける(あるいはその逆とか)、などの実験が簡単に行えます。各エフェクトとの接続順も自由に行えますが、SY-1はダイレクト音を入力するほうが良さそう(つまり、ギター側の先頭に接続)に思いました。


ES-8側の「CTL OUT」とTRSケーブルを使ってタップ入力すれば、ES-8のパッチで設定したテンポに自動的に追従させることもできそう。

SY-1とGT-100/1000のSEND/RETURNと組み合わせても楽しそうです。

-------------------------------------------
まずは第一印象ということでご紹介しました。ST-1は9月発売予定。機会があれば動画なども作ってみたいと考えています。では!