2018年6月9日土曜日

さらば!浦安

最近、引っ越しました。

東京、杉並の片隅で生まれ育った僕が、東京ディズニーランドがあるからという理由で浦安に住み始めて30年。こんなに長くここに住むことになるとは予想もしていませんでした。家賃も手頃でしたし、東京駅や羽田空港へのアクセスも便利な場所でしたが、以前のようにツアーに明け暮れる毎日では無くなっていましたし、家賃以外のコストが結構掛かっていたこともあって、移住を決意した次第です。

浦安での生活を振り返って

「住めば都」と言いますから、どんな土地に居住しても同じようなことを感じるのかもしれませんが、個人的に気に入っていた点をリストにします。

・海が近い!
人口16万人という小さい市で、面積もそう大きくはありません。市内のどの場所からでも海辺の公園にすぐに行けます。時間があればボーっと海を見に自転車でよく行ってました。葛西臨海公園や若洲海浜公園、旧江戸川や荒川などのサイクリング・ロードも近い、という話はこのブログでも何度も取り上げましたね。


・図書館など、市営施設の充実
他の自治体のものと比較して、浦安市の図書館の充実度は突出していると思います。毎日、大量の新刊が入りますし、通常の自治体と比較するとCDやDVDの在庫もかなりのもの。予約した資料は全て近くの公民館まで配達してくれます。ここで2,500冊以上の書籍と数百枚のCDを借りました。


立派なプール、ジム、体育館などのスポーツ施設に加え、音楽用施設も点在しています。「浦安文化会館」は「ゲネプロ(通し稽古)」に使われることも多く、そのままツアーの初日をここからスタートするアーティストも多数。僕自身も何度かこのホールで演奏したことがあります。


昨年、京葉線の新浦安駅前に「浦安音楽ホール」というクラシック向けの美しいホールも開館しました。ここは何室かリハーサル・ルームも完備されており、リーズナブルな価格で使用することができます。自宅では大きな音が出せなかったので、時々ここで個人練習させて頂きました。機材を借りないで自分で持ち込めば「時間=500円強」位だったと思います。


・液状化問題
2011年の東日本大震災時に液状化による被害が多かったことでも有名になりましたが、僕が住んでいたのは「元町」と呼ばれる地域で、ライフラインなどの被害もほとんどありませんでした。一方、埋め立て地域は家屋や道路の液状化の被害が大きく、電気、ガス、上下水道の使用にも支障がありましたが、現在、土壌改良工事なども進んでいる模様です。多くの人がそうであったように、自分の人生や生き方を深く考えるきっかけになりました。人のいないJR京葉線、舞浜駅の景色は本当に寂しかった!


いざ引っ越し

これまで暮らしていた賃貸マンションは25年前に新築だった物件。その間、リフォームなども全くされていなかったので、家具などをどけてみるとビックリするほど汚れも目立ち、壁紙が剥がれ掛けているところが何カ所もありました。


「原状回復」を求められて高額な補償金を請求されるケースもある、なんてことをネット見ていたので少し不安だったのですが、そんなことは全くなくて敷金もほとんど返却されました。大手の不動産会社で借りると安心ですね。(株)スターツさん、お世話になりました。

引っ越しの時期が需要が増える3月下旬だったことから、業者を依頼することを断念し、大型の家電や家具は古いものが多かったので処分し、他は自力で荷物を運びました。資料用にとってあった大量の書籍等は断裁し、自分でスキャンすることでPDF(電子)化。1980年代から残してあったライブを収録した大量のカセット、DAT、MDもほとんど廃棄しました。

転居先をフル・リノベーション

引っ越し先は中古の(ビンテージ?)マンション。これをフル・リノベーションして住むことにしました。分譲マンションを購入するよりも、間取りやデザインを自分好みに自由に変更できるメリットがあります。昨年の夏頃からいくつかの業者の相談会や見学会などに参加してリフォーム業者を選定し、また、近隣の住民に迷惑を掛けないよう、3LDKの一室の防音工事の設計と施工を「アコースティックエンジニアリング」さんに依頼しました。リフォーム全体のコストはそれなりに掛かりましたが、当初予想していたよりは安く仕上がったのでホッとしています。


この「プライベート・スタジオ」を作ったことで、気がついたことがたくさんあります。近い内にプランニングや施工時の経過などをこのブログでレポートしてみたいと思います。

2018年5月13日日曜日

GT-1000をライブで使ってみた!

ご無沙汰しています。

おかげさまで、シンコーさんから発売された「BOSS GT-1の教科書」が予想以上に好評で、何と重版が決まりました。購入して頂いた皆様、ありがとうございました!引き続きよろしくお願いします。

今回は、話題沸騰のマルチ・エフェクター「GT-1000」をライブで使ってみたので、その使用感などをレポートします。


その前に、昨年の秋以降の機材の使用状況をご報告します。


最近のライブで使用しているギター本体とアンプ

ここ数年は大きな変化はありません。



・Music Man LⅢ:この現場ではこれがメイン。リア・ハムが搭載されていること、22フ
          レットの音域が必要な曲があることも採用理由。
・Fender Stratocaster(1976年製):半音下げチューニング用。
・Martin D-35:メインのアコギ。
・Godin Multiac Nylon SA:ナイロン弦のエレアコ。

Blues Cube Artist:最近はアンプはこればっかり使ってます。

2017年の下半期の足元のセット

2017年の秋から年末に掛けてのZEROさんのライブ用のセット。「MS-3」をメインに、コンパクト数種を組み合わせ。アコギ用にはプリアンプ「AD-10」を使用しました。この写真を撮影したときのライブはビデオ収録され、先日BS FUJIでフルサイズで放映されました。自分で言うのもナンですが、ギターもイイ音してました。


・MS-3
BOSS「MS-3」はスイッチャー機能とマルチ・エフェクターが合体した大人気モデル。
好みのコンパクトを3個あるループに接続可能。写真のMad Proffessor製「SHOD」は不使用。BOSSの「DA-2」がメイン。たまに左側の「RIOT」を使うような感じ。MS-3本体のチューナーは使わずに「TU-3W」を常時起動しておくことでいつでもチューニングできるようにしました。サウンドの劣化も全くありません。


使い方にもよりますが、エクスプレッション・ペダルの「EV-30」やフット・スイッチ「FS-7」などを併用するとさらに機能を拡張できます。

以前の紹介記事はこちら

 ・JB-2
BOSSとJHS社のコラボによって開発された、これまでの常識を覆すモデル。「JB-2」はJHS社の「ANGRY CHARLIE」とBOSSの「BD-2」の回路が2イン1に搭載されています。



「JHS(=J)」側はアンプライク(マーシャル的?)な歪み。



BOSS側のサウンド(=B)はBD-2よりもややミッドが強い印象。モードの設定で、2つの音を切り替えることも、直列での接続(順番も選択可)、並列してミックスすることもできます。僕自身は「BOSS」単体をブースターとして使ったときの音が好み。「BOSS」で「JHS」側をブーストしたロック・テイスト溢れるサウンドも良かったのですが、今回の仕事には合わなかったので使いませんでした。

・AD-10
AD-10」は昨年発売されたアコギ用のプリアンプ/マルチ・エフェクター。プリアンプ機能以外にEQ、MDPコンプ、アコースティック・レゾナンス、コーラス、空間系などをフル搭載。ノブ操作で軽快にサウンド・メイキングが可能です。ソロ時などに使えるブースター機能も秀逸なアイディアです。フォーク・ギターとガット・ギターも、ケーブルを接続したまま、スイッチ1つで持ち替えが可能です。


セッティングをパッチとしてメモリーできるのですが、僕はマニュアル・モードで使ってます。2本のギターのキャラ違いを補正するために前段に「GE-7(グライコ)」を接続しています。

GT-1000

で、ここからが本題。

GT-1000」は96kHz32bitの高音質を誇る最新鋭マルチ・エフェクター。今年発売されて以降はこれをメインに使っています。「GT-1000」とはナンジャラホイ?というかたはこちらの記事も併せてご覧ください。現場ではこんな感じ。


今回は、リハ日数が少なかったのでサウンド・チェックに時間が掛けられず、「AIRD」のプリアンプは不使用。でも内蔵の歪みを組み合わせるだけでも非常に良い音を作れました。中でも、MDP仕様の歪み系が新搭載されたので、外部センド・リターンを使う必要さえありません。「A-DIST」、「X-OD」、「X-DS」という3種のMDPによる歪みタイプが搭載されているのです。


僕自身は歪み系に関しては、「A-DIST」をメインにリード時だけ同一パッチ内で「X-OD」でブーストするような使い方が好みでした。「STOMP BOX」という新機能を使うことで、コンパクト・エフェクターをスイッチャーで制御するような感覚で使えます。


クリーン系では、よく使うコーラス、ディレイ、トレモロなどをCTLにアサイン。コーラスは青、ディレイは白、トレモロは緑にLEDが点灯するように設定し、1個のパッチ内で切り替えてプレイできるようにしています。だから、20曲以上を演奏する場合でも、エレキ用の使用パッチは5つだけ。


足元はGT-1000のみでスッキリ。セッティングする時間が大幅に短縮されました。


実は、アコギもGT-1000に接続しています。GT-1000の「MDPコンプ(X-Comp)」やアコースティック・レゾナンスをテストしてみたところ、問題無くアコギ・サウンドを構築できました。パッチ設定で信号をPAとギターアンプにスイッチすることが可能。間違えるとアコギの音がギターアンプから鳴ってしまうので注意が必要ですが…。


「MAIN OUT」の信号をギターアンプに、XLR仕様の「SUB OUT」にアコギ系のパッチ・シグナルをアサインしてPAに送っています。DIも勿論不要です。



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GT-1000は今回ご紹介したようなシンプルな使い方でも素晴らしいトーンが得られますが、サウンド的にも機能的にも奥が深い機材なので、今後研究を重ねてみるつもり。AIRDアンプの使用感も含め、新しい発見がありましたら、引き続きレポ致します。まもなく、システムのアップデートもされるようですしね。こちらもお楽しみに!


2018年3月27日火曜日

GT-1の本が出ます!

明後日、3月29日(木)に僕が執筆を担当した5冊目のムック本がシンコーミュージック・エンタテイメントから発売されます。今回のテーマは「GT-1」。題して、「BOSS GT-1の教科書」です。今回も「まえがき」の一部を公開します。アマゾンではまだ表紙が公開されていないようですが、予約は始まっています。是非、ご覧ください。


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まえがき

「 簡単な操作で好みのサウンドをゲットしたい 」
「 多くのエフェクターのサウンドを気軽に試してみたい 」 
「自分の好きなプレイヤーの音を再現したい 」 
「自分だけのオリジナル・サウンドを追求したい」

 GT-1はそんなあなたの夢を叶えてくれるマルチ・エフェクター。上位モデル=GT-100が備えた基本的なサウンドはそのままに、 機能をギュッと凝縮してコンパクトにまとめた製品です。リーズナブルな価格で、簡単に操作できる工夫が凝らされたGT-1ではありますが、内容的には中・上級者をも唸らせるほどのパワーを備えています。それゆえ、大量のパラメーターと豊富な機能を前に挫折しそうになってしまう方もいるかもしれません。でも大丈夫、 この本を読めば問題解決は間違いなし!

  本書は2014 年に出 版された『 プロフェッショナル ・ エフェクター・テクニック2 GT-100完全攻略編』の内容をGT-1用に再構成し、大幅加筆したものです。 基本的なことからマニュアルには記載されていないマニアックな使い方まで、さまざまな角度からの情報を網羅しつつ、エフェクターを初めて購入するユーザー にもわかりやすいように、詳細で丁寧な解説を心掛けました。みなさんがゼロから音色を作っていけるように説明しつつ、各エフェクトやコントロール・アサインなどの具体的な設定例も数多く掲載しています。GT-1と本書を目の前に置いて、実際に音を出しながら操作してみてください。

 最初は難しく感じても、GT-1を毎日触っているうちに自在にコントロールできるようになるはずです。GT-1を使いこなせれば 、もっともっと楽しくギターをプレイできますよ! 頑張りましょう!
 
                                中野 豊

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2018年1月26日金曜日

BOSS GT-1000 私的レポート

いよいよ、BOSSのGTシリーズのフラッグシップ・モデル=GT-1000が発表になりました。今回もプリセット・パッチの作成スタッフとして関わらせて頂いています。スペックのほうはすでにオフィシャル・サイトでも公開になっていますので、ここでは個人的なインプレを簡単にレポートしたいと思います。尚、まだ写真はNGとのことなので、公式の写真だけを転載しています。ご了承ください。



デザイン

写真よりも実物の方がもっとカッコ良く見えます。高級感溢れるデザインですし、ノブを操作した時の反応や質感も心地良い仕上がり。ディスプレイの視認性も良好です。GT-100よりも小さく、重量も軽くなっています。

新しくなったアンプ・サウンド

PRE AMPのパラメーター自体は、GT-100などから変化が無いように見えますが、サウンドは大きく異なります。シンプルなパラメーターで簡単に高品位なサウンドが得られるように設計されている印象。複雑なルーティングや設定は不要なので、アンプ・タイプを切り替えていくだけで目的のサウンドがすぐに得られます。Xを冠したアンプ・タイプも追加になっています。

スピーカー・シミュレーターも今までとは全く違う質感と弾き心地。96kHz32bitのオーディオ仕様は、サウンド自体には勿論、レーテンシー的にも解像度的にも良い影響を与えているように思えます。実際にDAWにライン録音してみると、文章で表現するのは難しいのですが、「音が“点”ではなく、“面”で聞こえる」ように感じます。EQ処理などもほとんど不要に思えます。

また、「アウトプット・セレクト」にも相当な研究がなされていて、あらゆるアンプに対して、適切に動作をするようになっているようです。(膨大な選択肢が用意されています)

新規搭載のエフェクト群

・歪み系:Xシリーズ的な歪みが追加されています。ブースターとしての使用時も、トーンの効き方が鋭いので柔軟に対応できます。A-DISTも残っています。

・コンプレッサー:これもXシリーズ的なコンプ・タイプが追加されています。守備範囲が広いので上品なサウンドから圧縮の強い音まで対応できます。

・3基のFX:今までのモデルでは2基しか使えなかったわけですが、1基増えるだけでこれほど可能性が拡がるとは思いませんでした。これまでできなかったことが確実に実現できます。

3基のディバイダーとミキサー:最初はどう使えばよいかわからなかったのですが、いろいろ触っている内にアイディアがどんどん出てくるようになりました。1個のパッチ内での切り替えだけでなく、エフェクターを並列して接続すると、こんなに面白い音が作れるのか!と実感しています。

4基のシンプルなディレイ:贅沢にディレイをあらゆる場所に接続できます。特定のディレイ音にだけエフェクトを掛けたり、エコーとして以外の使い方に大きな可能性を見いだせました。

多機能ディレイ&リバーブ:DD-500&RV-500的な効果を含めた、多機能ディレイ&リバーブも搭載。GTシリーズとしては初めてディレイとリバーブに「SHIMMER」が使えるようになったのも大きいですね。

FX系:モジュレーション系を中心にMD-500に搭載されているサウンドが追加。フェイザーやコーラスにもタイプが追加されています。個人的には「SLOW GEAR」が、どんなフレーズを弾いても反応が良くなっているところが嬉しかったですね。

拡張性

・2基のSEND/RETURN:外部のエフェクターを2台接続した、スイッチャー的な使い方も可能。ステレオ・エフェクターを使うこともできます。

・ステレオ2系統のアウトプット:ラインとアンプなど、状況に応じた複雑なルーティングが可能。AD-2やAD-10のような、「アコースティック・レゾナンス」も搭載されているので、アコギ用プリアンプとエレキ用エフェクターを1台で賄うような使い方も可能ですね。

・Bluetooth:スマホ用のアプリでワイヤレスでエディットできるのは便利そう。でも、本体だけでも簡単に操作できますけどね。




ユーザー・インターフェイス

これにも実に楽しくも便利に使えるさまざまな工夫が凝らされています。

・3基のCTLスイッチ:アサイン関係も充実しています。常時使えるCTL×3に加えて、「ナンバー・ペダル・スイッチ」的なアサイン(カレント・ナンバーにアサイン可能)、パッチセレクトやバンク・チェンジにも任意のアサインを行うことが可能です。

・LED表示:写真でわかるように、いろいろなカラーで表示することができますが、その色自体をユーザーが指定することもできます。「OD-1はイエローで、T-SCREAMはグリーン」などと設定すれば、アサインがどうなっているかもひと目で確認できそうです。

・ディスプレイの表示:プレイ・モード、エディット・モードのいずれの場合も、いくつかの表示画面を選ぶことができます。特に、エディット・モード時はエフェクト・チェインとエフェクト・パラメーターを同時に表示させることができるので、どのセクションのエフェクターを調整しているかを把握しやすいですね。逆に、エフェクターごとの多くのパラメーターを俯瞰できる画面も用意されています。

・STOMP BOX:これまでのGT-100などに搭載されていた「クイック・セッティング」は、設定を各エフェクトごとに保存することはできたのですが、呼び出し専用の機能でした。つまり、パッチ内に読み込んだあとは、パッチ・パラメーターとなってしまっていたのですが、GT-1000では保存したエフェクト設定を、コンパクト・エフェクターを組み合わせるように使えるようになりました。

文章にするのが難しいのですが、解説してみましょう。例えば、OD-1を使ったパッチを2個作り、片方にだけディレイを掛けたようなケースを想像してください。両方のOD-1の「DRIVE」を上げたい場合、これまではドライなパッチとディレイの掛かったパッチの両方のパラメーターを変更しなければならなかったのですが、この機能を使うと、STOMP BOXのOD-1のパラメーターを変更すると、そのSTOMP BOXを使用している全てのパッチのパラメーターが同時に修正されるのです。つまり、スイッチャーに接続したコンパクト・エフェクターのように内蔵のエフェクターを扱うことができる、のですが…、この説明でわかります?GT-100のユーザーなら、「プリアンプ・モード」という機能があるのをご存じの方もいると思いますが、それがすべてのエフェクターに対して設定できる機能に近いと思ってください(パッチ・モードと併用できるので、もっと高度な機能と言えますが)。これまでと同様に、各パッチに独立した設定を施すこともできます。

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他にも書かなければならないことが山ほどあるような気もしますが、本日はここまで。発売まではもう少し時間があるので、追加レポートもそのうちに書きますね。お楽しみに!


2018年1月21日日曜日

自宅でのギター生活が変わります〜KATANA-AIRレビュー

ご無沙汰しています。もう、明けましておめでとうございます、でもないですね。プライベートなことも含めていろいろとご報告したいこともあるのですが、今回は個人的にも期待の新製品が発売されるのでご紹介したいと思います。

KATANA-AIR登場!!

BOSSから画期的なギターアンプが発表になりました。

KATANAシリーズはマルチ・エフェクターを内蔵したギターアンプ。ライブでも使える大型のスタック・タイプから廉価な50W仕様のものまで多彩なラインナップを揃っています。今回、発表になった「KATANA-AIR」は自宅用の小型アンプなのですが、何と言ってもワイヤレス・システムを内蔵している点に注目してください。



これまでのギター用ワイヤレス

僕にとってもワイヤレスでギターを弾くことはライブでは当たり前のこと。ソロを弾くためにフロントに出たり、ステージ(客席も?)を駆け回ったりするためには絶対に必要なツールでした。



だから、「自宅でワイヤレス」という今回の製品の話を伺った時も、何となく予想できるような気になっていました。しかし!実際に使ってみると、その便利さに目から鱗が落ちました。「自宅でこそワイヤレス!!」です。

KATANA-AIRのトランスミッター

ライブで使用するようなトランスミッターは比較的大型なので、ストラップに付けて使いますが、KATANA-AIRのトランスミッターは大きさは1/3程度、重量もわずか43g。ギターのジャックに直接プラグインして使用します。通常のワイヤレス・システムで必要なレシーバーはKATANA-AIRに内蔵されています。



トランスミッター自体の電源は、内蔵された充電式リチウム・イオン電池を使います。電源のON/OFFスイッチは搭載されおらず、一定の時間に信号が入力されないと自動的に電源が切れるようになっています。ギター・スタンドなどに放置していても大丈夫というわけです。じゃあ、また弾きたくなったらどうするか?ギターを持つと振動に反応して自動的に電源が入るのです。

一日中プレイしていても、バッテリーが切れるなんてこともありません(スペック的には12時間位もつとのこと)。夜寝る前にトランスミッターを本体のスロットに挿しておくだけで翌日の朝には充電が完了しています。



ギターを持ち替えたい場合はトランスミッターを別のギターに差しかえればOK。通常のケーブルの差しかえを行う場合、アンプ側のボリュームを下げておかないと、「バス!ブー!!」と激しくノイズが出ますよね。KATANA-AIRの場合はプラグをギターから引き抜くと、これまた自動で音がミュートされます(マニュアルには音量を下げるように記載されていますが、今回試した感じでは大きな問題はなさそうです)。手持ちの楽器を並べ、次々に持ち替えながらのプレイが、ケーブルを使うよりも簡単に行えます。

自宅でエレキを弾く時って、ケーブルがジャマになるでしょう?机の足に絡まったり、イスのキャスターでケーブルを踏んでしまったり、足を引っ掛けて危なくギターを倒しそうになったり…などなど、トラブルが頻発します。こんなことからも解放されることになります。自宅でのリラックス・タイム。弾きたくなったら手に持ってすぐに演奏できる、そんなアコギ感覚でエレキを弾ける環境が手に入ります。

レーテンシーは?

この製品のワイヤレス・トランスミッターはBluetooth方式ではありません。従って、音の遅れ(=レーテンシー)も全く気になりません。現在のBluetoothのレーテンシーは楽器用として使うにはかなり問題があります。僕もSONYのBluetoothヘッドホンを持っていますが、楽器演奏用のモニターとしては使えないと感じています。KATANA-AMPのBluetoothはiPhoneなどからのオーディオを受信するために使います。CD音源やYouTubeなどのオーディオに合わせてギターを弾くことができます。こちらの音質もなかなかのものですよ。

追記(1/23):Bluetoothでスマホを接続して、ワイヤレスで音色をエディットできるアプリも配布される、ということを書き忘れてました。失礼しました。



アンプ自体のサウンドは?

KATANA-AIRは便利なだけの製品ではありません。クリーン〜クランチ、ハイゲイン系〜ヴィンテージ・マーシャル的な「BROWN」まで、多彩なバリエーションを誇ります。サウンド自体も、Hi-Fiなスピーカーをモデリング・アンプで鳴らす感じでは無く、ちゃんとギターアンプのサウンドになっています。つまり、デスクトップに置いてスピーカーに向かって弾くよりも、少し離れた場所で、場合によっては背中側に置いても楽しくプレイできるようなサウンドです。MASTERを上げると、防音設備がないとヤバいくらいの大音量になります。

クランチや歪み系アンプを内蔵の歪み系でブーストしたり、コーラスやリバーブなどのステレオ・エフェクターで搭載されている2基のスピーカーを鳴らしたりなど、サウンド・メイキングも自由自在に行えます。「BOSS TONE STUDIO 」にも対応するので、エディターで音を作ったり、パソコンに音色を保存したりも可能です(本体にも6パッチのメモリーが可能)




さて、どこに置きましょうか?

KATANA-AIR本体はバッテリーでもACアダプター給電でも動作します。ユーザーの環境に合わせてどこででも使えるアンプですが、リビングや書斎の空いているスペースにポン置きすれば、いつでも気軽にエレキギターを楽しめると思います。僕も自宅にこれがやってきてから、圧倒的にプレイする時間が増えました。ソファーにゆったりと座って弾くも良し、ノリノリで踊りながらのプレイも盛り上がりそう。この楽しさを知ってしまうと手放せなくなってしまう、そんな画期的な製品です。


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ちょっと興奮気味に書いてしまいましたが、個人的にもホントに欲しい製品です。是非、お試しください。そして、今週からはアメリカでNAMM SHOWが開催されます。どんな製品が登場するでしょうか?こちらも楽しみですね。

2017年7月15日土曜日

クイック・スタート・ビデオ収録の裏側

昨年から公開されている「クイック・スタート・ビデオ」の制作にも関わらせて頂いています。製品の基本的な操作をわかりやすく解説しているビデオで、購入したユーザーが紙のマニュアルを読まなくても、すぐに操作して頂けるようにするためのもの。これまでに以下のモデルの動画を制作しています。(それぞれYouTubeへリンクしています)

・ES-5(スイッチャー)
・ES-8(スイッチャー)
・RC-202(ループ・ステーション)
・VE-8(ボーカル&アコギ用エフェクター)
・GT-1(マルチ・エフェクター)
・KATANA Amp Series(ギター・アンプ)
・Acoustic Singer(アコギ用アンプ)
・MS-3(スイッチャー&マルチ・エフェクター)
・GT-1B(ベース用マルチ・エフェクター)

シンセサイザー、ベース、コーラス、タンバリン(?)まで、ギター以外にもいろいろ演奏しています。

このプロジェクトでは、台本自体はBOSSに用意して頂いていますが、演奏と編集は僕が担当しています。Adobe社製の「Premiere Pro」というソフトを使ってのビデオ編集。面白いんだ、これが。


自宅での撮影風景

今年の上半期までは、ローランド浜松本社内のビデオ用のスタジオで撮影。こんな感じです。


ところが、わざわざ浜松まで行かなくても撮影できるかも、ということに気がついて、6月に公開したMS-3の動画からは、自宅で撮影することになりました。しかも、たったひとりで…。文具店で購入した白いケント紙を敷き、3台のLEDライトを当てて撮影していきます。自分的には、ライティングが一番難しいかも。MS-3の場合は2台のカメラを使い、実機全体とディスプレイ部分のアップを狙います。


本体のケーブル接続の説明をするシーンを撮るときは、ミニ・スタジオ的な台を用意。


ローランドのスタジオでは演奏を同時に撮っていましたが、自宅ではスペース的に無理。なので、演奏シーンだけは別撮りしています。このビデオ収録では背景の布の皺が映ってしまったのが反省点。でも、背景にライトを強く当てることで回避できることを発見!GT-1Bのビデオでは問題解消しています。


該当のモデルを購入した際には、是非、参考にしてください。

RV-500とMD-500のデモ・ムービー

チュートリアル・ビデオではなく、製品のプリセットを聴かせるデモ・ムービー的なものを、とBOSSからのリクエスト。普通に自宅撮影の雰囲気でOKということだったので、自室の作業机を背景に撮ることにしました。しかし、字幕もナレーションも無い動画では間が持たないし、完全自撮り環境ではカメラ自体を動かすこともできません。そこで、カメラの数を増やす作戦にしました。古いコンパクト・デジカメやiPhone 6sも動員しての4カメ体制です。部屋の中は機材でゴチャゴチャ。4台のカメラのスタート・ボタンを押し、音を収録するDAWの録音をスタートさせてから演奏するのは結構、緊張します。


iPhoneのカメラは、画角がどうなっているかを確認できないので、裏側に鏡を置いて液晶画面が見えるようにしています。


どちらのモデルも96kHz32ビットという高音質仕様。この動画でもなかなか良い音で録音できたと思っています。因みにアンプは「WAZA Amp Head」のラインアウトを使用。これも素晴らしいアンプなので、後日にレビューしますね。RV-500とMD-500の動画も是非、ご覧ください。



今のところ、ユーチューバーになるつもりはありませんが、自分でビデオを撮影する方法がわかったので、ブログ用にも何か撮影してみようかとも考えています。

2017年7月12日水曜日

祝!BOSS OD-1復活!!

1977年にリリースされた、最初期のBOSSコンパクト3機種をまとめての復刻のニュースに、沢山の人が驚かれたのではないでしょうか?「技クラフト・シリーズ」で“DM-2W”、“VB-2W”や“CE-2W”といった過去モデルのリイシューはありましたが、「豪華仕様の3モデルのボックス」で、「1500セット限定」とは…。今年は何と言っても「BOSSコンパクト発売40周年」ですし、中古市場で高騰している4段フェイザーの「PH-1」、希少な1バンドパライコ「SP-1」、そして、オーバードライブの伝説的名機「OD-1」の3モデルのセットなわけですから、とにもかくにも嬉しい復活です。同じく、新製品のマルチエフェクト・スイッチャー「MS-3」や「RV-500」などと一緒にボードに並べてみました。


そうそう、同じく40周年記念の「DS-1」のブラック仕上げバージョン「DS-1 4A」もありますぜ。


OD-1との出会い

1970年代、エフェクターは国産のものよりも、欧米製のモデルのほうがブランド力がありました。中でも、70年代後半は「MXR」の独壇場ともいえる状況。BOSSはコーラスの「CE-1」を始め、いくつかのモデルを発売していたものの、全て大型のモデルで当初は影が薄かったと思います。国産メーカーだと、エフェクターに限って言えば「Maxon」や「Guyatone」のほうが存在感があったように記憶しています。高校生だった僕も必死でバイトしながら、「アタッチメント」(当時はエフェクターをそう呼んだのです)を1つずつ買い揃えていきました。
 1977年にOD-1が発売されると、特に国内のスタジオ系プレーヤーに圧倒的に支持されます。その結果、70年代後半から80年代に掛けての多くの歌謡曲やJ Pop(ニューミュージック?)で使用され、今でもそのサウンドをさまざまな作品で確認することができます。僕自身は、最も尊敬するギタリスト、森園勝敏さんがMXRの「Dyna Comp」と「OD-1」、そしてローランドのアンプ「JC-60」の組み合わせで演奏していて、そのサウンドに衝撃を受けて新品で購入したのが最初の出会い、1983年のことです。

ゲットしたのはいわゆる「黒ネジ」で、オペアンプはNEC製のC4558Cという仕様。現在では、OD-1は発売期間中に使用パーツや回路の変遷があったことがよく知られています。(勿論、当時は知りませんでした…)



持つべきものは…

何年か前に、高校時代のバンド仲間と久しぶりに一緒に演奏する機会あって、その際、ベース担当の石黒くんが「僕が持っているより中野くんが持っているほうが良いと思う」といって、古いエフェクターをいくつか譲ってくれたのです、ありがたいことに。何と、その中に79年製「銀ネジのOD-1」が含まれていたのです。嬉しくて2個を並べて撮った写真がこれ。モデル名のロゴの「ハイフン」が全角と半角で異なっているのがわかります?(ODー1とOD-1)



「JRC4558D」というオペアンプが搭載された個体。銀ネジの中期モデルでは標準的な回路のようです。


最初期モデル

2015年に「プロフェッショナル・エフェクター・テクニック 3」を執筆したときに、仕様の異なるモデルをお借りして、弾き比べを行ったことがあります。このときは4種類の個体をテストしています。



この写真の1番右側は「レイセオン製クアッド・オペアンプ RC3403ADB」が搭載されていた最初期のモデルです。下はその内部写真。



最初はサウンドにそれほど大きな違いはないように思えました。が、ES-8側のバッファーをオフにしたら、かなり違った結果に。実は79年代後半頃、オペアンプの選定だけではなく、バッファー回路の設計も変更されており、それに伴って入力インピーダンスの仕様も変更されているのです。


さて、今回のリイシューの出来映えは?

今回のリイシュー、まがいも無い元祖OD-1のサウンドが完全に再現されています。最初期モデルと同じタイプのクワッド・オペアンプを採用し、入力インピーダンスも当時と同じ「220kΩ」と低い値に設定されています。ギター側の最前段に接続し、ギターボリュームをやや絞ると、独特のマイルドなギター・サウンドが得られます。一方、前段に現行のモデル(例えばBD-2などをオフ状態で)を接続すれば、OD-1に入力されるインピーダンスは低くなりますから、滑らかでスッキリしたサウンドになります。初期型のサウンドの特徴はオペアンプというよりも、この入力インピーダンスの影響が大きいのでは?と個人的には思っています。今回のモデルを購入した際には両方の接続方法を是非試してみてください。それにしても、ビンテージ系の真空管アンプとの相性は抜群。コンプレッションの効いたチューブ・アンプをブーストすれば、伝説のロック・サウンドが甦ります。


ということで、今回のBOXセットの発売は8月下旬とのこと。限定品なので、欲しい人は早めに予約をされたほうがよいかもしれません。


詳しくは公式サイトをご覧ください。