2017年7月15日土曜日

クイック・スタート・ビデオ収録の裏側

昨年から公開されている「クイック・スタート・ビデオ」の制作にも関わらせて頂いています。製品の基本的な操作をわかりやすく解説しているビデオで、購入したユーザーが紙のマニュアルを読まなくても、すぐに操作して頂けるようにするためのもの。これまでに以下のモデルの動画を制作しています。(それぞれYouTubeへリンクしています)

・ES-5(スイッチャー)
・ES-8(スイッチャー)
・RC-202(ループ・ステーション)
・VE-8(ボーカル&アコギ用エフェクター)
・GT-1(マルチ・エフェクター)
・KATANA Amp Series(ギター・アンプ)
・Acoustic Singer(アコギ用アンプ)
・MS-3(スイッチャー&マルチ・エフェクター)
・GT-1B(ベース用マルチ・エフェクター)

シンセサイザー、ベース、コーラス、タンバリン(?)まで、ギター以外にもいろいろ演奏しています。

このプロジェクトでは、台本自体はBOSSに用意して頂いていますが、演奏と編集は僕が担当しています。Adobe社製の「Premiere Pro」というソフトを使ってのビデオ編集。面白いんだ、これが。


自宅での撮影風景

今年の上半期までは、ローランド浜松本社内のビデオ用のスタジオで撮影。こんな感じです。


ところが、わざわざ浜松まで行かなくても撮影できるかも、ということに気がついて、6月に公開したMS-3の動画からは、自宅で撮影することになりました。しかも、たったひとりで…。文具店で購入した白いケント紙を敷き、3台のLEDライトを当てて撮影していきます。自分的には、ライティングが一番難しいかも。MS-3の場合は2台のカメラを使い、実機全体とディスプレイ部分のアップを狙います。


本体のケーブル接続の説明をするシーンを撮るときは、ミニ・スタジオ的な台を用意。


ローランドのスタジオでは演奏を同時に撮っていましたが、自宅ではスペース的に無理。なので、演奏シーンだけは別撮りしています。このビデオ収録では背景の布の皺が映ってしまったのが反省点。でも、背景にライトを強く当てることで回避できることを発見!GT-1Bのビデオでは問題解消しています。


該当のモデルを購入した際には、是非、参考にしてください。

RV-500とMD-500のデモ・ムービー

チュートリアル・ビデオではなく、製品のプリセットを聴かせるデモ・ムービー的なものを、とBOSSからのリクエスト。普通に自宅撮影の雰囲気でOKということだったので、自室の作業机を背景に撮ることにしました。しかし、字幕もナレーションも無い動画では間が持たないし、完全自撮り環境ではカメラ自体を動かすこともできません。そこで、カメラの数を増やす作戦にしました。古いコンパクト・デジカメやiPhone 6sも動員しての4カメ体制です。部屋の中は機材でゴチャゴチャ。4台のカメラのスタート・ボタンを押し、音を収録するDAWの録音をスタートさせてから演奏するのは結構、緊張します。


iPhoneのカメラは、画角がどうなっているかを確認できないので、裏側に鏡を置いて液晶画面が見えるようにしています。


どちらのモデルも96kHz32ビットという高音質仕様。この動画でもなかなか良い音で録音できたと思っています。因みにアンプは「WAZA Amp Head」のラインアウトを使用。これも素晴らしいアンプなので、後日にレビューしますね。RV-500とMD-500の動画も是非、ご覧ください。



今のところ、ユーチューバーになるつもりはありませんが、自分でビデオを撮影する方法がわかったので、ブログ用にも何か撮影してみようかとも考えています。

2017年7月12日水曜日

祝!BOSS OD-1復活!!

1977年にリリースされた、最初期のBOSSコンパクト3機種をまとめての復刻のニュースに、沢山の人が驚かれたのではないでしょうか?「技クラフト・シリーズ」で“DM-2W”、“VB-2W”や“CE-2W”といった過去モデルのリイシューはありましたが、「豪華仕様の3モデルのボックス」で、「1500セット限定」とは…。今年は何と言っても「BOSSコンパクト発売40周年」ですし、中古市場で高騰している4段フェイザーの「PH-1」、希少な1バンドパライコ「SP-1」、そして、オーバードライブの伝説的名機「OD-1」の3モデルのセットなわけですから、とにもかくにも嬉しい復活です。同じく、新製品のマルチエフェクト・スイッチャー「MS-3」や「RV-500」などと一緒にボードに並べてみました。


そうそう、同じく40周年記念の「DS-1」のブラック仕上げバージョン「DS-1 4A」もありますぜ。


OD-1との出会い

1970年代、エフェクターは国産のものよりも、欧米製のモデルのほうがブランド力がありました。中でも、70年代後半は「MXR」の独壇場ともいえる状況。BOSSはコーラスの「CE-1」を始め、いくつかのモデルを発売していたものの、全て大型のモデルで当初は影が薄かったと思います。国産メーカーだと、エフェクターに限って言えば「Maxon」や「Guyatone」のほうが存在感があったように記憶しています。高校生だった僕も必死でバイトしながら、「アタッチメント」(当時はエフェクターをそう呼んだのです)を1つずつ買い揃えていきました。
 1977年にOD-1が発売されると、特に国内のスタジオ系プレーヤーに圧倒的に支持されます。その結果、70年代後半から80年代に掛けての多くの歌謡曲やJ Pop(ニューミュージック?)で使用され、今でもそのサウンドをさまざまな作品で確認することができます。僕自身は、最も尊敬するギタリスト、森園勝敏さんがMXRの「Dyna Comp」と「OD-1」、そしてローランドのアンプ「JC-60」の組み合わせで演奏していて、そのサウンドに衝撃を受けて新品で購入したのが最初の出会い、1983年のことです。

ゲットしたのはいわゆる「黒ネジ」で、オペアンプはNEC製のC4558Cという仕様。現在では、OD-1は発売期間中に使用パーツや回路の変遷があったことがよく知られています。(勿論、当時は知りませんでした…)



持つべきものは…

何年か前に、高校時代のバンド仲間と久しぶりに一緒に演奏する機会あって、その際、ベース担当の石黒くんが「僕が持っているより中野くんが持っているほうが良いと思う」といって、古いエフェクターをいくつか譲ってくれたのです、ありがたいことに。何と、その中に79年製「銀ネジのOD-1」が含まれていたのです。嬉しくて2個を並べて撮った写真がこれ。モデル名のロゴの「ハイフン」が全角と半角で異なっているのがわかります?(ODー1とOD-1)



「JRC4558D」というオペアンプが搭載された個体。銀ネジの中期モデルでは標準的な回路のようです。


最初期モデル

2015年に「プロフェッショナル・エフェクター・テクニック 3」を執筆したときに、仕様の異なるモデルをお借りして、弾き比べを行ったことがあります。このときは4種類の個体をテストしています。



この写真の1番右側は「レイセオン製クアッド・オペアンプ RC3403ADB」が搭載されていた最初期のモデルです。下はその内部写真。



最初はサウンドにそれほど大きな違いはないように思えました。が、ES-8側のバッファーをオフにしたら、かなり違った結果に。実は79年代後半頃、オペアンプの選定だけではなく、バッファー回路の設計も変更されており、それに伴って入力インピーダンスの仕様も変更されているのです。


さて、今回のリイシューの出来映えは?

今回のリイシュー、まがいも無い元祖OD-1のサウンドが完全に再現されています。最初期モデルと同じタイプのクワッド・オペアンプを採用し、入力インピーダンスも当時と同じ「220kΩ」と低い値に設定されています。ギター側の最前段に接続し、ギターボリュームをやや絞ると、独特のマイルドなギター・サウンドが得られます。一方、前段に現行のモデル(例えばBD-2などをオフ状態で)を接続すれば、OD-1に入力されるインピーダンスは低くなりますから、滑らかでスッキリしたサウンドになります。初期型のサウンドの特徴はオペアンプというよりも、この入力インピーダンスの影響が大きいのでは?と個人的には思っています。今回のモデルを購入した際には両方の接続方法を是非試してみてください。それにしても、ビンテージ系の真空管アンプとの相性は抜群。コンプレッションの効いたチューブ・アンプをブーストすれば、伝説のロック・サウンドが甦ります。


ということで、今回のBOXセットの発売は8月下旬とのこと。限定品なので、欲しい人は早めに予約をされたほうがよいかもしれません。


詳しくは公式サイトをご覧ください。



2017年6月2日金曜日

待ってましたのBOSS MS-3登場!

 1年近く、ブログを休んでしまいました。昨年に出版した「プロフェッショナル・エフェクター・テクニック 4」の執筆で文章を書くのに疲れてしまったのかもしれません。何せ、長文を書いたのは大学の卒論以来、それを4冊も書いたのですから。はい、僕は元気です。

本来なら近況報告などをすべきかもしれませんが、とりあえずそれは置いておいて表題の件。個人的にも待望の新製品が発表になり、久々にブログを書きたくなってしまった、という次第です。

MS-3って何だ?

一見、スイッチャーのように見えるこの製品。実はスイッチャーとマルチ・エフェクターが合体したようなモデルです。3系統のループに好みのペダルを接続してコントロール。さらには内蔵されたエフェクターを組み合わせることで無限のサウンドを作り出すことができます。“GT-100”や“GT-001”に搭載されているエフェクトの内、「Pre Amp(アンプ・モデリング)」を除いたほぼ全てのエフェクトが搭載されています。「WARP」や「S.BEND」といった“ACCEL系”、「Tera Echo」や「OVERTONE」といった“MDPもの”、歪みエフェクター、モジュレーション系、空間系などを6系統を同時使用可能。ループに接続した3ループと自由に組み合わせられます。L1〜L3の接続順序を内部で変更はできませんが、内蔵エフェクトを個別にL1の前やL3の後ろには自由に配置できます。

※そうそう、“MS-3”にはBASS用のエフェクトも多数搭載されています。



ペダル・ボードに組み込んで使うことが想定されていることもあって、ライン接続やヘッドホンでのモニターを行いたい場合は、別の機材と併用する必要があります。ライブやセッションなどでアンプにつないで使って欲しい、ということなのでしょう。

こんな人にオススメ!

・歪み系などはお気に入りのペダルを使いたい人:“GT-100”にもSend/Returnがありますが、1系統だけですからね。1系統に複数台のエフェクトを接続し、ペダル側のON/OFFを切り替えれば、さらに多くのバリエーションが得られます。

・機材をコンパクトにしつつ、こだわりのペダルも併用したい人:「スイッチャーが便利なのはわかるけど、ペダル・ボードが大きくなりすぎ」なんて方にはピッタリですね。

ってなわけで、暫定的ですが、ボードに載せてみました。以前は5系統のスイッチャーで組んでいたボードなんですけど、まだまだスペースに余裕があります。実際に持ってみるとその軽さに驚愕。さすがに“GT-1”の手軽さには適いませんが、ギターと一緒の持ち運びも楽勝でしょう。“DD-500”などを載せてMIDI制御しても良いかも〜。




ここではL1に“ARCHER”、L2に“DS-1X”、L3に“ST-2”を接続していますが、「“ARCHER”の前段にフェイザーをつなげる」とか、“MS-3”内蔵の“OD-1”のモデリングで“ST-2”をブーストするなど、手軽にいろいろな実験を行えます。

カスタマイズも自由自在


実際に触ってみるとわかりますが、自分の使いやすいように自在にアサインを変更できる点も見逃せません。例えば、右上のフット・スイッチは通常は「メモリー・モード」と「マニュアル・モード」の切り替えで、長押しするとチューナーが起動するようになっていますが、逆の設定、つまり、通常はチューナーのON/OFFスイッチとして使い、長押しで「メモリー←→マニュアル」にするのも、いとも簡単に設定できます。






GTシリーズではお馴染みのアサイン系のカスタマイズもフル装備。本体スイッチや外部スイッチを自分の使いやすいようにアサイン設定可能です。また、各エフェクトのON/OFF状態もLEDで一目で確認できます。




発売は6月10日(土)に決定。うわっ、もうすぐですね。

公式サイトでも情報が公開になっています。基本的な使い方を解説したムービーも既に公開済み。因みにこの動画制作を担当させて頂きました。よかったらこちらもご覧ください。


下部のYouTubeのアイコンをクリックすると大きな画面、日本語の字幕付きで見られます。
または、右下のアイコンでフル・スクリーンにした後、歯車アイコンで字幕を設定できます。

今後はちょくちょく更新しますので、また見にきてください!