2018年11月27日火曜日

至福のヴィンテージ・サウンド〜BOSS Nextone Artistレビュー

遂に発売されたBOSSブランドの新しいアンプ「Nextone」シリーズ。期待を裏切らない、素晴らしいアンプに仕上がっています。公式サイトのカタログ・ページでも詳しく解説されていますし、すでに取扱説明書もダウンロードできるようになっていますから、ここでは個人的なオススメ・トピックをピックアップします。(それでも長文注意です)

外観

「Nextone Artist」はちょっとブリット・コンボ系のシックで落ち着いたデザイン。「Blues Cube Artist」より若干小振り。重量は16.2kg、30cm口径のスピーカーが搭載され、定格出力は80Wです。

一方、「Nextone Stage」のほうはスピーカーの口径は同じですが、一回り小さいサイズで、13.4kgとかなりの軽量になっており、出力が40Wに抑えられています。シックで落ち着いたデザインが好印象です。



真空管アンプの特徴

これまで、ギターアンプといえば増幅回路に真空管を使用したモデルが主流でした。僕自身も数々のアンプを購入してきましたが、以前はその利点について熟知できていたわけではありません。何となく「音が太くて抜ける?」、「歪ませた時の質感が違う?」くらいのアバウトな印象でそれらを使ってきたような気もします。しかし、ヴィンテージ系チューブ・サウンドを得意とするモデル、Fenderの「Tweed Deluxe Amp」を購入したり、マーシャル・ミュージアム等で歴代の名機を試奏したことで、そのサウンドに魅了されていったのです。最大の利点は、ピッキングに対するレスポンスの心地良さや弾きやすさです。ボリュームを上げていくことで得られる温かな歪みとコンプレッション。これがヴィンテージ系チューブアンプの人気の秘密なんです。

これは私物のTweed Deluxe Reissue

反面、チューブ・アンプはツアーなどで使えば最低でも年に1度はパワー管の交換が必要です。高額なメンテナンス料が掛かりますし、レンタルしていたアンプの真空管の劣化が原因でヒューズが飛んでしまい、ライブ当日に音が出なくなってしまって、本当に困ったこともあります。


上のアンプのリア部です

Nextoneシリーズは真空管こそ使用されていませんが、同様のサウンドを完璧に、しかもメンテナンス・フリーで得ることができるモデルなのです!


KATANA AMPシリーズとの違い

既発のKATANA AMPシリーズはどちらかと言えば全方位型。特にエディ的なマーシャル・サウンドを狙った「BROWN」やギターのボリューム操作によってクランチ~ハイゲインまでを自在にコントロールできる「LEAD」などのアンプ・タイプが売りです。多彩なマルチ・エフェクターも内蔵されているので、これ1台だけで完結できるポテンシャルを持っています。(そういえば、楽器フェアではKATANA HEADのデモを担当しました〜)



一方、NEXTONEシリーズは、エフェクターの搭載数は必要最小限に抑えられていますが、ヴィンテージ・アンプのサウンドを徹底的に追求。ハイゲインなサウンドよりはクリーン~クランチに特化したモデルという感じがします。




LEADチャンネルを選択すれば、極上のドライブ・サウンドになりますが、GAINをMAXに上げても、いわゆるハイゲインなサウンドにはなりません。




POWER AMP SELECTの実力は?

ここからが本題。パネルに表記されているように、パワーアンプ部の真空管タイプを切り替えられるようになっています。しかし、これまでの製品のようなモデリングやプロファイリングなどの技術でサウンドを再現するのではなく、ボリュームやトーン(EQUALIZER)との相互作用で、連続的にサウンドが変化してバリエーションを楽しめる仕様になっています。また、このスイッチはパワー管のキャラを変更するもので、スピーカー・シミュレーター的なニュアンスは含まれていません。極端な、例えば「スタック・アンプの再現」のようなものを目指したものではなさそうです。




しかし、下記のようなキャラクターに近い音色変化が簡単に得られます。

6V6:フェンダー系の小型アンプ。Deluxe、Deluxe Reverbなどで採用。
6L6:比較的出力の大きいフェンダー系やMesa Boogieの大出力タイプ。Tweed Bassman、Twin Reverb、Mesa/BoogieのMarkシリーズなど。
EL84:ブリット系コンボ。Vox AC30、マッチレス、フェンダーのBlues Jrなど。
EL34:マーシャルを始め、Orange、Bognerなど。

4種類のリアルなチューブ・サウンドを切り替えながら音を作っていくと、思わずいろいろなスタイルのフレーズを弾きたくなります。

Master Volumeの仕様

Nextoneシリーズを使いこなす上で覚えておいて欲しいポイントがあります。それは「MASTER VOLUME」の設定がサウンドに大きく影響するという点。真空管アンプの特徴でもあるのですが、パワーアンプ部に送り込まれる信号の大きさによって、「歪み」や「コンプレション感」、「飽和感」などが変化していきます。つまり、「MASTER VOLUME」の設定は音量だけでなく音色にも変化が現れることに注意してください。

「クリーン・チャンネル」を選択した場合、「VOLUME」と「MASTER VOLUME」を控えめに設定すると、ハムバッカーでも歪まないウォームなクリーン・サウンドが作れるのに対し、両者を上げていくことでとでさらに歪みとコンプレッション感を付加することができるのです。音量が大きくなりすぎる場合は「POWER CONTROL」を一段下げて対応してください。次の写真のように「POWER CONTROL」と「MASTER VOLUME」の設定次第で聴感上は同じ音量になりますが、音色的にはかなり異なった質感になります。




Nextoneシリーズの内蔵エフェクト

工場出荷時にパネル上で選択できるエフェクトは次の通りです。

・BOOST:ゲインを持ち上げることができます。選択しているチャンネルごとの設定は記憶されるので、CLEANではOFFにしてLEAD時はONのような設定にすることも可能です。

・TONE:CLEANではブライト・スイッチとして、LEAD時はFATスイッチにとして動作。これもチャンネルごとにメモリーされます。

・DELAY:アナログ・ディレイ風のディレイ。タップ・スイッチでディレイタイムを変更できます。

・REVERB:クリーンなデジタル・リバーブです。



コンパクトなどの歪み系エフェクターと組み合わせれば、無限のバリエーションを楽しめることは言うまでもありません。

マニアも納得のカスタム・モード

チャンネル切り替えスイッチを長押しすることで、「カスタム・モード」を選択できます。ノーマル時とは異なるエフェクトや設定がなされています。例えば、初期設定では、ディレイ・スイッチでトレモロが起動するようになっています。



パソコンとUSB接続してエディターを立ち上げると、さまざまな設定を変えることができるようになっています。ブースターの種類やコンプを起動したり、ディレイやリバーブのモード変更、パラメトリック・イコライザーなどで細部の調整を行えます。



ここで注目して欲しいのはパワー・アンプ部のパラメーター変更を行える点です。「BIAS」を下げ、「SAG」を上げることで、歪みやコンプレッション感を増強することができます。これは単に歪みを増やすというよりは、「MASTER VOLUME」の設定が低くてもコンプレッションを強く効くようにしたり、逆に「MASTER VOLUME」を上げてもクリーンなサウンドを維持したまま、音量を出したい場合などに使えます。残念ながらKATANA AMPのように設定をパッチのように切り替えることはできませんが、各パワーアンプの設定はメモリーできますから、例えば「6V6」は歪みやすく、「6L6」はクリーンに、といったチューニングを行えば便利でしょう。



プリアンプ部の「EQUALIZER TYPE」(=トーン・スタック)の切り替えも効果的。トーン・ツマミの効き方を「BRITISH(ツイード風など)」と「AMERICAN(ブラック・パネル風など)」に切り替えられるような感じです。




お気に入りの設定を本体のカスタム・モード内に保存しておくことで、自分だけのカスタム・アンプを所有しているような感覚を味わえます。

「Stage」と「Artist」の違い

内蔵エフェクトや機能は全く同じです。異なるのは筐体と出力だけなんですが、サウンドの傾向は少しだけ違うように感じました。「Artist」はレンジ感が広く、よりウォームなコンプレッションが特徴なのに対し、「Stage」はややソリッドでアタッキーな印象を持ちました。出力が異なることで飽和感と音量の関係も変わってくるので、プレイする環境や音楽性に合わせて選択すると良いと思います。



僕自身は「Nextone Artist」のほうがお気に入り。もう手放せませんね。来週からZeroさんのライブ・ツアーが始まるのですが、これを使ってみるつもりです。ライブでの使用感もいずれご報告しましょう!

2018年10月12日金曜日

緊急レポート! BOSS MT-2W編

 先週、BOSSの「技クラフト・シリーズ」の新作、「MT-2W」と「DC-2W」が発表になりました。今回は、特に人気モデルの「技クラフト」化なので、仕上がり具合が気になる方も多いかもしれません。一足先に自宅で試させて頂いたので、MT-2Wの個人的な印象をまとめてみたいと思います。


が、その前に…、

MT-2とは?

 今回のモデルの元になった「MT-2」は1991年に発売されて以降、ハイゲイン系ディストーションの代表的モデルとしてベストセラーになりました。BOSS以外の多くの機材にモデリングされていることからもその知名度の高さがうかがえます。どんなギターでも深く歪ませることができるので、長いサステインを伴ったパワーコード、分厚いリフはもとより、シングル系PU搭載のギターでの単音弾きでも、粘り感の強い、伸びやかなリード・サウンドを得られます。小音量のミニ・アンプなどでも迫力あるサウンドを響かせられる点も人気の秘密です。効きの強いセミ・パラメトリック仕様の3バンド・イコライザーでドンシャリ系〜ミッドの強いサウンドまでを演出。多弦ギターの低音弦でも簡単に歪みきらせることができます。

 ネーミングからメタラー御用達のイメージがありますが、現在では、ジャズ、ノイズ系、シューゲイザーなど、さまざまなスタイルのプレーヤーに愛用されています。



MT-2Wのカスタム・モード!!!

 で、今回のMT-2W。MT-2のオペアンプ×2基による増幅回路なのに対し、MT-2Wはディスクリート方式によるデュアル・ステージ・ゲイン回路。良質なバッファー回路の搭載と相まって、ハイゲイン・モデルなのに、ノイズが少ないクリーンなサウンドが特徴です。

 今回、個人的に最も注目して頂きたいと感じたのは「カスタム・モード」のサウンドです。これまでの「技クラフト・シリーズ」のカスタム・モード(特に歪み系モデル)は、ややマニアックというか、微妙なニュアンスの違いを味わえるものが多かったのに対し、MT-2Wの場合は、劇的にサウンドが切り替わります。まるで、ターボ・モードを備えているかのように…。

 スタンダード・モードはMT-2的でユニークなサウンドが特徴なのですが、カスタム・モードはハイゲインでありながら、もっとナチュラルな響き。輪郭のハッキリしたモダンなサウンドの印象です。DISTの設定によって、クランチ〜程良いディストーション〜ハイゲインまでを自在に設定可能です。


 イコライザーの効きはより強力に。ほんのわずか動かしただけで大きくサウンドが変化します。大胆な設定だけでなく、センシティブに調整することで目的のサウンドに追い込んでいくことができます。フェンダーやマーシャルなどのアンプとの相性も良さそう。Rolandの「Blues Cube」でも極上のサウンドに仕上がりました。アンプ側を少しだけ歪ませて、【DIST】を下げ【LEVEL】を上げた「ブースター」的な設定もOK。クリーン設定のJCとの組み合わせでは「HIGH」を少し控えめに設定すると良いかもしれません。

MT-2Wの使いどころ

 オーバードライブからファズまで、キャラクターの異なる歪み系をボードに搭載することは珍しいことでは無くなりました。MT-2Wは、伸びやかなリード・サウンド、「ハイゲインなアンプ・ライク」な使い方、飛び道具的な過激なサウンドまで、幅広いサウンドを作り出すことができるので、用意しておくことでいろいろな状況に対応することができそうです。これまでのBOSSのハイゲイン系のモデルはどちらかというとリフやバッキング向きのイメージがあるのですが、MT-2Wは単体でリード・サウンドまで対応できます。

 しかも、ギター側のボリューム操作することで、歪みのコントロールが可能。まるでBD-2のように…。【DIST】を上げたままの状態で、ギター・ボリュームを下げれば、3度を含んだローコードをガンガン弾いても濁らないトーンになるのは驚異的とも言えます。これなら、エフェクトをOnにしたまま、1曲を弾き通すこともできますね。

10月19日(金)発売とのこと。すでに、公式サイトでも試奏動画なども上がっているので、そのサウンドを確かめてみてください。



フレーズやセッティング、アンプとの組み合わせを自由に選択して試聴できる面白いページも公開されています。

こちらから!

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「楽器フェア2018」が10月19日(金)から10月21日(日)に開催されます。会場はお馴染み東京ビッグサイト。僕も前回に引き続きローランド・ブースに参戦致します。今回は大好評のマルチ・エフェクター=「GT-1」と「KATANA AMP」のデモを担当します。(尚、中野の21日の出演はありません)もちろん、今回ご紹介した「MT-2W」や「DC-2W」の試奏もOKです。是非、お越しください。

スケジュール等の詳細はこちらから→「楽器フェア2018」ローランド特設サイト



2018年6月13日水曜日

プライベート・スタジオを作る!

前回の記事で引っ越しをしたことをご報告しましたが、引っ越しするにあたり、新居に防音を施した小さいスタジオを作ることにしました。工事の過程の写真を撮影していたので、ここで公開しようと思います。

以前の作業部屋

転居前の作業部屋は約6畳。広さ的には問題なかったのですが、音楽制作にはやや難ありの状態。角部屋で、隣家には接していなかったのですが、階下&階上の家には音が漏れてしまう可能性があったので、ほとんど音を出せず…。ヘッドホンをMAINに作業していました。


さらに、この部屋にはエアコン用のダクト穴がなく、ウィンドウ型エアコンを設置するしか手段がありませんでした。夏の期間は窓を半開きにする必要があり、エアコン自体の動作音も非常に大きかったのがストレスになっていました。アコギをマイク録りする時など、窓を閉め切りにしてエアコンを止め、汗だくになりながらレコーディングしたこともあります。

転居先物件の状況

転居先は築30年を越える物件ですが、SRC造のしっかりしたマンション。ここをリノベーションすることにしました。物件内のどの部屋で防音工事を行うか、施工をお願いした「アコースティックエンジニアリング」さんと相談しつつ、隣家と接していない5.6畳の部屋をスタジオ化することにしました。壁紙にはカビが…。


部屋全体をリノベーションしていただく業者さんの手によって解体作業が行われました。元々3LDKの間取りだった室内の壁は一旦全て撤去されました。


工事開始!

いよいよ工事の始まり。少しでも部屋を広く取るため、壁を元の部屋よりも少しずつ広げて立てます。防音用に壁を厚くするため、最終的な部屋のサイズは4.5畳程度にまで小さくなってしまうので、必要最小限の機材だけをここに収納することにします。


部屋の四方に遮音用の吸音材が入れられます。本当は窓を潰してしまえば防音性能は上がるのですが、ここに引きこもってしまうと気が滅入りそうなので、頑丈な2重窓を設置することにしました。元々の外側の窓は共有部分になりますので、それはそのまま残し、内側の半分を壁に、もう半分を窓にしています。


上の写真の壁に石膏ボードが貼られた状態。この段階で遮音性能のテストも行われました。左側にはさらに吸音材が仕込まれていきます。単に防音するだけでは無く、室内の音響調整もキチンと行われます。僕自身は楽器の生音の響きよりも、楽器のサウンド調整やミキシングを正確に行えるように、比較的デッドな音場に仕上がるようにリクエストしました。


前面(左側)の吸音部分が完成し、壁紙を貼られるとグッと完成に近づいてきます。背面側(右側)にも部屋の鳴りをコントロールする吸音材が追加されます。床に転がっているのは前の部屋から持ってきた書棚。サイズを測ったのでピッタリと設置できました。


入口は木製の二重扉。ビックリするほど音漏れはありません。同居の家族に確認したところ、「実は全然ギター練習してないんじゃないの?」と言われるほど。


二重窓はこんな感じ。


電気設備編

天井に設置されたスポット・ライトは調光が可能。気分に応じて明るさを自由に設定できます。


前面と背面にはLEDの間接照明が仕込まれています。オシャレ〜。


楽器用専用電源は生活家電などからは分離しています。分電盤のある別室に大型のノイズレス・トランスを設置。


スタジオ内には117ボルト、楽器用100ボルト、その他の家電用の三系統の電源が引かれています。


キッチリと遮音されており密閉率も高いので、給排気のための換気扇が2機必要とのこと(窒息する?)。しかし、室内では全くファンの音は聞こえません。



気になる遮音性能、そして費用は??

「アコースティックエンジニアリング」さんに依頼して良かったことはいくつもありますが、キッチリと遮音性能を実験して頂けたことが安心につながりました。実際に階下の室内測定も行った上で、どの程度の音量まで出せるかを提示していただけます。下の写真は本格的に機材を設置する前に技術の方に立ち会って頂いてギターを鳴らしたとき。マンションの室内でここまで防音できるのに驚きました。さすがに生ドラムを叩くことはできないと思いますが、ギターアンプなら自分がうるさくて耐えられない位の音量が出せます。


今回、自宅スタジオを作る上で最大の懸案はやはり費用のこと。あらかじめ、この業者さんのサイトで大まかなコストが記載されていたのを確認したところ、「思ったよりは安いな」といった印象。防音室の面積など条件によっても違いますが、ウチのケースでは「国産中級クラスの新車くらいの価格」といった感じ?個人的には費用対効果が高かったので、非常に満足しています。

「アコースティックエンジニアリング」さんのサイト

次回は実際にスタジオを運用して気づいたことなどを書いてみます。

P.S.
今月(2018年7月号)のギター・マガジンに「ギターを思いっきり弾けるプライベート・スタジオ」として記事を掲載していただきました。是非、ご覧ください。

2018年6月9日土曜日

さらば!浦安

最近、引っ越しました。

東京、杉並の片隅で生まれ育った僕が、東京ディズニーランドがあるからという理由で浦安に住み始めて30年。こんなに長くここに住むことになるとは予想もしていませんでした。家賃も手頃でしたし、東京駅や羽田空港へのアクセスも便利な場所でしたが、以前のようにツアーに明け暮れる毎日では無くなっていましたし、家賃以外のコストが結構掛かっていたこともあって、移住を決意した次第です。

浦安での生活を振り返って

「住めば都」と言いますから、どんな土地に居住しても同じようなことを感じるのかもしれませんが、個人的に気に入っていた点をリストにします。

・海が近い!
人口16万人という小さい市で、面積もそう大きくはありません。市内のどの場所からでも海辺の公園にすぐに行けます。時間があればボーっと海を見に自転車でよく行ってました。葛西臨海公園や若洲海浜公園、旧江戸川や荒川などのサイクリング・ロードも近い、という話はこのブログでも何度も取り上げましたね。


・図書館など、市営施設の充実
他の自治体のものと比較して、浦安市の図書館の充実度は突出していると思います。毎日、大量の新刊が入りますし、通常の自治体と比較するとCDやDVDの在庫もかなりのもの。予約した資料は全て近くの公民館まで配達してくれます。ここで2,500冊以上の書籍と数百枚のCDを借りました。


立派なプール、ジム、体育館などのスポーツ施設に加え、音楽用施設も点在しています。「浦安文化会館」は「ゲネプロ(通し稽古)」に使われることも多く、そのままツアーの初日をここからスタートするアーティストも多数。僕自身も何度かこのホールで演奏したことがあります。


昨年、京葉線の新浦安駅前に「浦安音楽ホール」というクラシック向けの美しいホールも開館しました。ここは何室かリハーサル・ルームも完備されており、リーズナブルな価格で使用することができます。自宅では大きな音が出せなかったので、時々ここで個人練習させて頂きました。機材を借りないで自分で持ち込めば「時間=500円強」位だったと思います。


・液状化問題
2011年の東日本大震災時に液状化による被害が多かったことでも有名になりましたが、僕が住んでいたのは「元町」と呼ばれる地域で、ライフラインなどの被害もほとんどありませんでした。一方、埋め立て地域は家屋や道路の液状化の被害が大きく、電気、ガス、上下水道の使用にも支障がありましたが、現在、土壌改良工事なども進んでいる模様です。多くの人がそうであったように、自分の人生や生き方を深く考えるきっかけになりました。人のいないJR京葉線、舞浜駅の景色は本当に寂しかった!


いざ引っ越し

これまで暮らしていた賃貸マンションは25年前に新築だった物件。その間、リフォームなども全くされていなかったので、家具などをどけてみるとビックリするほど汚れも目立ち、壁紙が剥がれ掛けているところが何カ所もありました。


「原状回復」を求められて高額な補償金を請求されるケースもある、なんてことをネット見ていたので少し不安だったのですが、そんなことは全くなくて敷金もほとんど返却されました。大手の不動産会社で借りると安心ですね。(株)スターツさん、お世話になりました。

引っ越しの時期が需要が増える3月下旬だったことから、業者を依頼することを断念し、大型の家電や家具は古いものが多かったので処分し、他は自力で荷物を運びました。資料用にとってあった大量の書籍等は断裁し、自分でスキャンすることでPDF(電子)化。1980年代から残してあったライブを収録した大量のカセット、DAT、MDもほとんど廃棄しました。

転居先をフル・リノベーション

引っ越し先は中古の(ビンテージ?)マンション。これをフル・リノベーションして住むことにしました。分譲マンションを購入するよりも、間取りやデザインを自分好みに自由に変更できるメリットがあります。昨年の夏頃からいくつかの業者の相談会や見学会などに参加してリフォーム業者を選定し、また、近隣の住民に迷惑を掛けないよう、3LDKの一室の防音工事の設計と施工を「アコースティックエンジニアリング」さんに依頼しました。リフォーム全体のコストはそれなりに掛かりましたが、当初予想していたよりは安く仕上がったのでホッとしています。


この「プライベート・スタジオ」を作ったことで、気がついたことがたくさんあります。近い内にプランニングや施工時の経過などをこのブログでレポートしてみたいと思います。

2018年5月13日日曜日

GT-1000をライブで使ってみた!

ご無沙汰しています。

おかげさまで、シンコーさんから発売された「BOSS GT-1の教科書」が予想以上に好評で、何と重版が決まりました。購入して頂いた皆様、ありがとうございました!引き続きよろしくお願いします。

今回は、話題沸騰のマルチ・エフェクター「GT-1000」をライブで使ってみたので、その使用感などをレポートします。


その前に、昨年の秋以降の機材の使用状況をご報告します。


最近のライブで使用しているギター本体とアンプ

ここ数年は大きな変化はありません。



・Music Man LⅢ:この現場ではこれがメイン。リア・ハムが搭載されていること、22フ
          レットの音域が必要な曲があることも採用理由。
・Fender Stratocaster(1976年製):半音下げチューニング用。
・Martin D-35:メインのアコギ。
・Godin Multiac Nylon SA:ナイロン弦のエレアコ。

Blues Cube Artist:最近はアンプはこればっかり使ってます。

2017年の下半期の足元のセット

2017年の秋から年末に掛けてのZEROさんのライブ用のセット。「MS-3」をメインに、コンパクト数種を組み合わせ。アコギ用にはプリアンプ「AD-10」を使用しました。この写真を撮影したときのライブはビデオ収録され、先日BS FUJIでフルサイズで放映されました。自分で言うのもナンですが、ギターもイイ音してました。


・MS-3
BOSS「MS-3」はスイッチャー機能とマルチ・エフェクターが合体した大人気モデル。
好みのコンパクトを3個あるループに接続可能。写真のMad Proffessor製「SHOD」は不使用。BOSSの「DA-2」がメイン。たまに左側の「RIOT」を使うような感じ。MS-3本体のチューナーは使わずに「TU-3W」を常時起動しておくことでいつでもチューニングできるようにしました。サウンドの劣化も全くありません。


使い方にもよりますが、エクスプレッション・ペダルの「EV-30」やフット・スイッチ「FS-7」などを併用するとさらに機能を拡張できます。

以前の紹介記事はこちら

 ・JB-2
BOSSとJHS社のコラボによって開発された、これまでの常識を覆すモデル。「JB-2」はJHS社の「ANGRY CHARLIE」とBOSSの「BD-2」の回路が2イン1に搭載されています。



「JHS(=J)」側はアンプライク(マーシャル的?)な歪み。



BOSS側のサウンド(=B)はBD-2よりもややミッドが強い印象。モードの設定で、2つの音を切り替えることも、直列での接続(順番も選択可)、並列してミックスすることもできます。僕自身は「BOSS」単体をブースターとして使ったときの音が好み。「BOSS」で「JHS」側をブーストしたロック・テイスト溢れるサウンドも良かったのですが、今回の仕事には合わなかったので使いませんでした。

・AD-10
AD-10」は昨年発売されたアコギ用のプリアンプ/マルチ・エフェクター。プリアンプ機能以外にEQ、MDPコンプ、アコースティック・レゾナンス、コーラス、空間系などをフル搭載。ノブ操作で軽快にサウンド・メイキングが可能です。ソロ時などに使えるブースター機能も秀逸なアイディアです。フォーク・ギターとガット・ギターも、ケーブルを接続したまま、スイッチ1つで持ち替えが可能です。


セッティングをパッチとしてメモリーできるのですが、僕はマニュアル・モードで使ってます。2本のギターのキャラ違いを補正するために前段に「GE-7(グライコ)」を接続しています。

GT-1000

で、ここからが本題。

GT-1000」は96kHz32bitの高音質を誇る最新鋭マルチ・エフェクター。今年発売されて以降はこれをメインに使っています。「GT-1000」とはナンジャラホイ?というかたはこちらの記事も併せてご覧ください。現場ではこんな感じ。


今回は、リハ日数が少なかったのでサウンド・チェックに時間が掛けられず、「AIRD」のプリアンプは不使用。でも内蔵の歪みを組み合わせるだけでも非常に良い音を作れました。中でも、MDP仕様の歪み系が新搭載されたので、外部センド・リターンを使う必要さえありません。「A-DIST」、「X-OD」、「X-DS」という3種のMDPによる歪みタイプが搭載されているのです。


僕自身は歪み系に関しては、「A-DIST」をメインにリード時だけ同一パッチ内で「X-OD」でブーストするような使い方が好みでした。「STOMP BOX」という新機能を使うことで、コンパクト・エフェクターをスイッチャーで制御するような感覚で使えます。


クリーン系では、よく使うコーラス、ディレイ、トレモロなどをCTLにアサイン。コーラスは青、ディレイは白、トレモロは緑にLEDが点灯するように設定し、1個のパッチ内で切り替えてプレイできるようにしています。だから、20曲以上を演奏する場合でも、エレキ用の使用パッチは5つだけ。


足元はGT-1000のみでスッキリ。セッティングする時間が大幅に短縮されました。


実は、アコギもGT-1000に接続しています。GT-1000の「MDPコンプ(X-Comp)」やアコースティック・レゾナンスをテストしてみたところ、問題無くアコギ・サウンドを構築できました。パッチ設定で信号をPAとギターアンプにスイッチすることが可能。間違えるとアコギの音がギターアンプから鳴ってしまうので注意が必要ですが…。


「MAIN OUT」の信号をギターアンプに、XLR仕様の「SUB OUT」にアコギ系のパッチ・シグナルをアサインしてPAに送っています。DIも勿論不要です。



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GT-1000は今回ご紹介したようなシンプルな使い方でも素晴らしいトーンが得られますが、サウンド的にも機能的にも奥が深い機材なので、今後研究を重ねてみるつもり。AIRDアンプの使用感も含め、新しい発見がありましたら、引き続きレポ致します。まもなく、システムのアップデートもされるようですしね。こちらもお楽しみに!