2018年6月13日水曜日

プライベート・スタジオを作る!

前回の記事で引っ越しをしたことをご報告しましたが、引っ越しするにあたり、新居に防音を施した小さいスタジオを作ることにしました。工事の過程の写真を撮影していたので、ここで公開しようと思います。

以前の作業部屋

転居前の作業部屋は約6畳。広さ的には問題なかったのですが、音楽制作にはやや難ありの状態。角部屋で、隣家には接していなかったのですが、階下&階上の家には音が漏れてしまう可能性があったので、ほとんど音を出せず…。ヘッドホンをMAINに作業していました。


さらに、この部屋にはエアコン用のダクト穴がなく、ウィンドウ型エアコンを設置するしか手段がありませんでした。夏の期間は窓を半開きにする必要があり、エアコン自体の動作音も非常に大きかったのがストレスになっていました。アコギをマイク録りする時など、窓を閉め切りにしてエアコンを止め、汗だくになりながらレコーディングしたこともあります。

転居先物件の状況

転居先は築30年を越える物件ですが、SRC造のしっかりしたマンション。ここをリノベーションすることにしました。物件内のどの部屋で防音工事を行うか、施工をお願いした「アコースティックエンジニアリング」さんと相談しつつ、隣家と接していない5.6畳の部屋をスタジオ化することにしました。壁紙にはカビが…。


部屋全体をリノベーションしていただく業者さんの手によって解体作業が行われました。元々3LDKの間取りだった室内の壁は一旦全て撤去されました。


工事開始!

いよいよ工事の始まり。少しでも部屋を広く取るため、壁を元の部屋よりも少しずつ広げて立てます。防音用に壁を厚くするため、最終的な部屋のサイズは4.5畳程度にまで小さくなってしまうので、必要最小限の機材だけをここに収納することにします。


部屋の四方に遮音用の吸音材が入れられます。本当は窓を潰してしまえば防音性能は上がるのですが、ここに引きこもってしまうと気が滅入りそうなので、頑丈な2重窓を設置することにしました。元々の外側の窓は共有部分になりますので、それはそのまま残し、内側の半分を壁に、もう半分を窓にしています。


上の写真の壁に石膏ボードが貼られた状態。この段階で遮音性能のテストも行われました。左側にはさらに吸音材が仕込まれていきます。単に防音するだけでは無く、室内の音響調整もキチンと行われます。僕自身は楽器の生音の響きよりも、楽器のサウンド調整やミキシングを正確に行えるように、比較的デッドな音場に仕上がるようにリクエストしました。


前面(左側)の吸音部分が完成し、壁紙を貼られるとグッと完成に近づいてきます。背面側(右側)にも部屋の鳴りをコントロールする吸音材が追加されます。床に転がっているのは前の部屋から持ってきた書棚。サイズを測ったのでピッタリと設置できました。


入口は木製の二重扉。ビックリするほど音漏れはありません。同居の家族に確認したところ、「実は全然ギター練習してないんじゃないの?」と言われるほど。


二重窓はこんな感じ。


電気設備編

天井に設置されたスポット・ライトは調光が可能。気分に応じて明るさを自由に設定できます。


前面と背面にはLEDの間接照明が仕込まれています。オシャレ〜。


楽器用専用電源は生活家電などからは分離しています。分電盤のある別室に大型のノイズレス・トランスを設置。


スタジオ内には117ボルト、楽器用100ボルト、その他の家電用の三系統の電源が引かれています。


キッチリと遮音されており密閉率も高いので、給排気のための換気扇が2機必要とのこと(窒息する?)。しかし、室内では全くファンの音は聞こえません。



気になる遮音性能、そして費用は??

「アコースティックエンジニアリング」さんに依頼して良かったことはいくつもありますが、キッチリと遮音性能を実験して頂けたことが安心につながりました。実際に階下の室内測定も行った上で、どの程度の音量まで出せるかを提示していただけます。下の写真は本格的に機材を設置する前に技術の方に立ち会って頂いてギターを鳴らしたとき。マンションの室内でここまで防音できるのに驚きました。さすがに生ドラムを叩くことはできないと思いますが、ギターアンプなら自分がうるさくて耐えられない位の音量が出せます。


今回、自宅スタジオを作る上で最大の懸案はやはり費用のこと。あらかじめ、この業者さんのサイトで大まかなコストが記載されていたのを確認したところ、「思ったよりは安いな」といった印象。防音室の面積など条件によっても違いますが、ウチのケースでは「国産中級クラスの新車くらいの価格」といった感じ?個人的には費用対効果が高かったので、非常に満足しています。

「アコースティックエンジニアリング」さんのサイト

次回は実際にスタジオを運用して気づいたことなどを書いてみます。

P.S.
今月(2018年7月号)のギター・マガジンに「ギターを思いっきり弾けるプライベート・スタジオ」として記事を掲載していただきました。是非、ご覧ください。

2018年6月9日土曜日

さらば!浦安

最近、引っ越しました。

東京、杉並の片隅で生まれ育った僕が、東京ディズニーランドがあるからという理由で浦安に住み始めて30年。こんなに長くここに住むことになるとは予想もしていませんでした。家賃も手頃でしたし、東京駅や羽田空港へのアクセスも便利な場所でしたが、以前のようにツアーに明け暮れる毎日では無くなっていましたし、家賃以外のコストが結構掛かっていたこともあって、移住を決意した次第です。

浦安での生活を振り返って

「住めば都」と言いますから、どんな土地に居住しても同じようなことを感じるのかもしれませんが、個人的に気に入っていた点をリストにします。

・海が近い!
人口16万人という小さい市で、面積もそう大きくはありません。市内のどの場所からでも海辺の公園にすぐに行けます。時間があればボーっと海を見に自転車でよく行ってました。葛西臨海公園や若洲海浜公園、旧江戸川や荒川などのサイクリング・ロードも近い、という話はこのブログでも何度も取り上げましたね。


・図書館など、市営施設の充実
他の自治体のものと比較して、浦安市の図書館の充実度は突出していると思います。毎日、大量の新刊が入りますし、通常の自治体と比較するとCDやDVDの在庫もかなりのもの。予約した資料は全て近くの公民館まで配達してくれます。ここで2,500冊以上の書籍と数百枚のCDを借りました。


立派なプール、ジム、体育館などのスポーツ施設に加え、音楽用施設も点在しています。「浦安文化会館」は「ゲネプロ(通し稽古)」に使われることも多く、そのままツアーの初日をここからスタートするアーティストも多数。僕自身も何度かこのホールで演奏したことがあります。


昨年、京葉線の新浦安駅前に「浦安音楽ホール」というクラシック向けの美しいホールも開館しました。ここは何室かリハーサル・ルームも完備されており、リーズナブルな価格で使用することができます。自宅では大きな音が出せなかったので、時々ここで個人練習させて頂きました。機材を借りないで自分で持ち込めば「時間=500円強」位だったと思います。


・液状化問題
2011年の東日本大震災時に液状化による被害が多かったことでも有名になりましたが、僕が住んでいたのは「元町」と呼ばれる地域で、ライフラインなどの被害もほとんどありませんでした。一方、埋め立て地域は家屋や道路の液状化の被害が大きく、電気、ガス、上下水道の使用にも支障がありましたが、現在、土壌改良工事なども進んでいる模様です。多くの人がそうであったように、自分の人生や生き方を深く考えるきっかけになりました。人のいないJR京葉線、舞浜駅の景色は本当に寂しかった!


いざ引っ越し

これまで暮らしていた賃貸マンションは25年前に新築だった物件。その間、リフォームなども全くされていなかったので、家具などをどけてみるとビックリするほど汚れも目立ち、壁紙が剥がれ掛けているところが何カ所もありました。


「原状回復」を求められて高額な補償金を請求されるケースもある、なんてことをネット見ていたので少し不安だったのですが、そんなことは全くなくて敷金もほとんど返却されました。大手の不動産会社で借りると安心ですね。(株)スターツさん、お世話になりました。

引っ越しの時期が需要が増える3月下旬だったことから、業者を依頼することを断念し、大型の家電や家具は古いものが多かったので処分し、他は自力で荷物を運びました。資料用にとってあった大量の書籍等は断裁し、自分でスキャンすることでPDF(電子)化。1980年代から残してあったライブを収録した大量のカセット、DAT、MDもほとんど廃棄しました。

転居先をフル・リノベーション

引っ越し先は中古の(ビンテージ?)マンション。これをフル・リノベーションして住むことにしました。分譲マンションを購入するよりも、間取りやデザインを自分好みに自由に変更できるメリットがあります。昨年の夏頃からいくつかの業者の相談会や見学会などに参加してリフォーム業者を選定し、また、近隣の住民に迷惑を掛けないよう、3LDKの一室の防音工事の設計と施工を「アコースティックエンジニアリング」さんに依頼しました。リフォーム全体のコストはそれなりに掛かりましたが、当初予想していたよりは安く仕上がったのでホッとしています。


この「プライベート・スタジオ」を作ったことで、気がついたことがたくさんあります。近い内にプランニングや施工時の経過などをこのブログでレポートしてみたいと思います。