2014年4月27日日曜日

私的ヘッドホン・レビュー

先日のGT-100の「バージョン2」の公開と「GT-001」の発売。手に入れたユーザーにとっては楽しいゴールデン・ウィークになりそうですね。僕も毎日のようにGT-001を使ってギターを弾いています。実は、GT-001やGT-100に新規で追加になったパッチ作成にも関わらせて頂いています。シンコー・ミュージックから発刊された「プロフェッショナル・エフェクター・テクニック2」内でご紹介している裏ワザ(?)を駆使したパッチも多数搭載されましたので、プリセット・パッチ内を探してみてください。

ところで、みなさんは自宅でギターを鳴らす時、どんな機材を使っていますか?ギターアンプを使うのも楽しいですが、GT-100などを使うなら、フラットな再生環境で鳴らすのもオススメです。しかしながら、使用するモニタースピーカーやヘッドホンによっても音はかなり異なるのが悩みどころ。「誰が使っても良い機材」というのは存在しませんし、他の機材との組み合わせによってもサウンドは大きく変化します。いろいろとテストしているうちに機材が増えてきてしまうのが悩み…。今回は僕が愛用しているヘッドホンをご紹介します。

SONY「MDR-900ST」

どこのレコーディング・スタジオに行っても常備されている業務用のヘッドホン。そんなこともあって、このヘッドホンのサウンドには必然的に慣れてしまったところがあります。耳に付くハイエンドが持ち上がっているので、音の分離感は高いですが、心地良い高域成分というのとはちょっと違います。直球勝負の篭もり感の無い音で、エレキギターのエッジ感を聴きたい時には良いですね。大きめの音量でも破綻しないので、ギター録音時には常用しています。今までも「MDR-CD3000」とか「MDR-Z900」なんていう機種も使ってきましたが、ソニーのヘッドホンには共通した高域のキャラクターがあるように思えます。


Roland「RH-300」

「900ST」とは対極にあるダイナミック型モニター・ヘッドホンで、多くのプロのミュージシャンにも愛用されているモデル。900STよりもエッジ感は少なめですが、もっと上の高域がよく聞こえます。そして、何と言っても低域の再生能力が高く、比較的小さい音量でも迫力あるレンジの広いサウンドが得られるのが特徴。打ち込み作業を行っている場合などに聴き疲れしないので、特に重宝しています。



audio-technica「ATH-W1000」

これはもう廃盤になってしまっているモデルなのですが、めずらしい木製のヘッドホンです。決してフラットなサウンドでは無いのですが、オーケストラものやアコースティック系の楽器の音が好みの音で鳴ってくれるのです。雑誌などでレコーディング・エンジニア系の人が使っているのをよく見掛けます。どちらかというとリスニング用といった使い方をしていますが、別売のヘッドホン・スタンド共々かなり気に入ってます。



SONY「MDR-800ST」

上記の3機種を使い分けてきたのですが、不都合が出てきてしまいました。それは目の衰えからメガネを掛けなければ、作業に支障をきたす場面が増えてきたこと。メガネを掛けながらヘッドホンをするとどうしてもこめかみの辺りが痛くなってきてしまうので、インナーイヤー型のヘッドホンを探してたんです。
このモデルは業務用の「MDR-900ST」に近いサウンドということで購入してみました。確かに同系統のサウンドですが、イヤモニながら低域も比較的多めのサウンドで再生されるのは意外でした。しかし、遮音性があまり高くないので、ノイズが多めの環境には向かないかもしれませんね。



Shure「SE535」

で、ライブでのモニター用に去年購入したこのモデルを家でも多用しています。イヤーピースの形状が個人的には非常にフィットしたこともあって、エアコンなどの使用時でも比較的ノイズを遮音してくれます。レンジはそれほど広くないサウンドではありますが、クセのない素直な音なので、ミキシングは無理でも打ち込み作業は非常に快適です。そういえば、ノイズキャンセラー機能がついたイヤホンもいつか試してみたいところです。



SENNHEISER「CX-300」

外出時のヘッドホンは何度も無くしてしまうので、価格の安いこれを使っています。(今は生産完了のようです)2000円くらいでしたが、外で聴くなら充分な音質。自転車で公園などに行って、ベンチでボーッと音楽を聴いていると幸せを感じます。また、眠れない夜には耳栓代わりにこれを掛けたまま寝てしまうこともありますが、丈夫で壊れないのも嬉しいところです。



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モニターはどんなオーディオ・インターフェイスと組み合わせるのかということも大事な要素。実はGT-100や001をインターフェイスとして使用することにも大きなメリットがあります。そんなことも近い内に書いてみたいと思ってます。

2014年4月16日水曜日

ギタリストの作業机に関する考察

ギターを弾かない人にとっては何の役にも立たないかもしれませんが、ちょっと思いついたことがあったので。
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現在、少ないの機材での作業環境の構築を目指しています。その結果、ギター・エフェクト系を除くと、Mac Book Pro、とオーディオ・インターフェイス、そしてモニター・スピーカーだけという、シンプルな機材に絞られてきています。机の上部からの写真です。便利な世の中になったもんだ。


ギターを手にしている時の状況を考えてみます。写真のように、体の向きに対してややネック側が斜め前に飛び出している、僕の場合はそんなフォームになります。ネックが順ゾリとか言わないでください。ただのフィギュアなんですから。


机上はパソコンとモニター・スピーカーの位置がポイントになります。ポスト・イットで模してみました。


これを合体させると次の写真のようになります。机に対して体を正面に向けようとと、ある程度の距離が必要。Macを操作するには手をかなり前に伸ばさなければなりません。低いテーブルを使うか、イスの高さが机を上回っていれば、ネック位置が机と被っても問題ないのですが…。


必然的にマウス操作を行うには姿勢を左斜めにする必要がありますが、こうするとスピーカーから左右の耳への距離が変わってしまってイマイチ。(右耳がスピーカーに近くなり、左は遠くなる)


「そうだ!」と思って、体の向きに合わせて机上のスピーカーの位置を変更してみると…、


机の右側に大きいスペースが生まれますし、Macへのアクセスも改善かと思いきや、ギターを持ってない時も、常に斜めの体勢になってしまうのはなんだか情けない。


そこで、Macの外付けのキーボードとトラックパッドをスライド式の引き出しに入れてみたらこれがバッチリ。引き出しの高さはギター位置より低いので、被っても大丈夫。正面を向いたまま、Macの操作が可能になりました。GT-001を使えば、狭い引き出し内にもいろいろ置けて超便利!スピーカーの位置だけ少し手前に動かします。


以前はGT-100が引き出しを占有していたので、このワザは使えませんでした。


一方、机上にGT-100を置いているユーザーの人も多いと思いますが、これからは床置きもあり、ですよ。


何故なら、バージョン2対応の「BOSS TONE STUDIO」にはエディターも付属しているから。手元にGTが無くてもPCでエディットできるし、むしろペダル類に足でアクセスすることができるので、手元に置くより便利かもしれません。


以上、「ギタリストが机と仲良くする方法」でした!

2014年4月14日月曜日

GT-100バージョン2、直前情報!

GT-100のシステム・アップデータ配信開始まであと少し。今回はバージョン2の画像をいくつか公開します。

※記事執筆時に「4月17日にアップデータの公開予定」と記載していましたが、「4月下旬頃に公開予定」に変更になりました。申し訳ありませんでした。(4/17)

追加アンプ・タイプ

「BGNR UB」と「ORNG RV」という2つのモデリングが追加。どちらもこれまでのGTには無かった傾向のサウンドなので、バリエーションが更に広がったという感じです。
「BGNR UB」は深い歪みにも関わらず、中域の粘り感もあるサウンド。低音弦リフからリードまで幅広く使えます。一方の「ORNG RV」は良い意味で荒れた歪みが特徴。歪み系との組み合わせでも威力を発揮しそうです。



モデリングの元になったアンプと弾き比べたら、もう、笑っちゃうくらいソックリなサウンドでした。



追加エフェクター

2013年に発売された、MDP技術を投入した3機種的なタイプを含め、5種類のエフェクターが追加されました。OD/DSセクションに「A-DIST」が実装されたのも嬉しいですね。


個人的にはよりリアルになった「ROTARY 2」もお気に入り。上下、2種類のローターの複雑な動きが再現されていますし、それぞれのバランスも設定可能です。


コントロール・アサイン

ここにもいろいろな改善点があります。

・NUMBER PEDALの拡張
パッチ・モード時のナンバーペダル(1〜4)にコントローラーをアサインできるようになりました。「ACCEL/CTL」、「PHRASE LOOP」、「EXP SW]に加え、第4のコントロールが可能になったということです。(外部CTLを使えば更に拡張可能!)僕はライブ時は自由度を優先してマニュアル・モードで運用してきたのですが、これを使えばパッチ・モードでもイケそうです。システム内の「NUMBER PEDAL SW」との併用も可能です。



・KNOB ASSIGNの拡張
パッチモード時に8個のノブをどのように使用していますか?これまでに加え、多くのパラメーターが追加されました。各エフェクトのON/OFFスイッチをアサインすれば、エディット・モードに入らずとも、各エフェクトのOn/Offをダイレクトに行えます。これは便利!


チューナー関連

モードを切り替えることで、和音を弾いてのチューニングも可能になりました。左画面にはこれまでのモノフォニック表示をさせたまま、右画面にメトロノーム画面の代わりにポリ・チューニング画面を表示出来ます。右画面でどの弦が狂っているかを確認しながら左画面を見ながらチューニングできるので、フローティング設定のギターの場合などは特に便利でしょう。


また、GT-100にはペダルスイッチの「1」&「2」番を同時に押すと、チューナーが起動しますが、この機能をキャンセルすることも出来るようになりました。パッチを呼び出すつもりでチューナーが起動してしまうことが多い、なんていう人にはありがたいですね。(写真の右端がそのスイッチになります)


USBやPC連係周辺などを始め、他にも様々な追加機能や改善点がありますが、それはアップデート時のお楽しみということで。公開は4月17日(木)予定!!→4月下旬予定。暫し待たれよ!!!

GT-001についてはこちらの記事もどうぞ!

バージョン2対応のGT-100攻略本「プロフェッショナル・エフェクター・テクニック2」も絶賛発売中です。


2014年4月12日土曜日

今日は休む!

昨日で今取りかかっている仕事が一段落。今日は思いっきり休むことにしました。天気が良かったので、近所の海まで行ってごろごろしながらの読書三昧。たまにはそんな過ごし方も必要です。

プロフェッショナル・エフェクター・テクニック2

お陰様でいろいろな方面から反響があります。Amazonのランキングなどを見ると前著を上回る勢い。とても嬉しく思っています。今回はGT-100の「バージョン2」発表という、非常に良いタイミングで出版できたことも影響しているのでしょう。ありがたいことです。執筆時にはわからなかったことや若干の修正点、GT-100のバージョン2やGT-001についての追加情報なども、このブログでも公開していく予定です。

ところで、この本や以前のブログ記事でもご紹介している、山口県柳井市のマーシャル・ミュージアム・ジャパンが3月末をもって閉館してしまいました。原稿の校了時にはこの事実を知らず、そのまま掲載されていますのでご注意ください。非常に残念に思っていたのですが、別の場所での開館を予定されているとのこと。期待しましょう。マーシャル・ミュージアムの新しいサイトのURLはこちらです。

面白すぎ、GP-10!

ここ数日はBOSSの新製品「GP-10」を使って遊んで…、いや仕事をしています。GKピックアップを使い、1本のギターでエレキ&アコギなどの様々なギター・サウンドやシンセ音などを楽しめるスゴイ製品です。ギターを持ち替えずに、全てのパートを賄うことも可能。ライブだけでは無く、レコーディングでも使ってみたい機能が満載です。こちらも追ってレビューします。


「完コピ魂」iPhoneでの配信開始

「完コピ魂」という携帯電話の着うたサイトをご存じでしょうか?ロックの名曲の数々の美味しい部分を編集し再現しているこのサイトの演奏を担当させて頂いています。何と、iPhoneの着信音としてこの楽曲データの配信が開始されました。歴代のGTシリーズを使用して、可能な限りにそっくりに演奏しています。BOSSのエフェクターの実力をお聴き頂くのもまた良し。iPhoneアプリの「iTunes Store」で「完コピ魂」で検索してみてください。試聴だけでも是非どうぞ。


CD発売

去年の11月にレコーディングに参加した作品が発売になったようです。このブログでもレコーディング時の写真は公開していましたので、よかったらまた読んでみてください。

1枚は、6人の声優さんによる「6COLORS~SEASIDE LIVE FES 2013」という作品。その中の「中原麻衣さん/浅倉杏美さん」というお二人が歌う「明日の花」という楽曲のギターを担当しました。ギターパートは全てGT-100を使用しての自宅録音です。


もう1枚はエリック・フクサキさんというシンガーのデビュー・シングルで、3曲収録中の2曲に参加しています。こちらはMad Professor製の「Sweet Honey Overdrive」をメインに使った音作り。「OD-1X」がギリギリ間に合わなかったのが残念。両曲ともギターソロは僕ではなく、エレキのバッキングとアコギのみを担当しました。


KANさんのカバー曲「すべての悲しみにさよならするために」はKANさんご本人が、スターダスト・レビューのカバー=「追憶」は旧知の渡部チェルさんがアレンジを担当されています。機会がありましたら聴いてみてください。


そして自転車もまた乗り始めました

自宅にこもっての作業が多かったこともあって、完全に運動不足です。もう暖かくもなっているので、先週あたりから毎日自転車に乗ってます。以前に走っていたコースがしんどいことったらありません。リハビリ的に徐々に慣らしていって、4~50km位は楽勝になれるよう頑張ります。


2014年4月1日火曜日

「プロフェッショナル・エフェクター・テクニック 2」発売

 昨日、表題のムック本が無事に発売されました。「BOSS GT-100完全攻略編」ということで、基本的にはGT-100ユーザーの皆様に向けて書きましたが、アンプやエフェクターに関する読み物としても楽しめるように執筆したつもりです。現時点で僕が知りうる全ての情報を網羅した自信作です。是非、ご覧ください。
 また、これから発売される「GT-001」もほとんど部分は「GT-100」と同じエフェクターやCOSM AMPを搭載しているので、参考にしていただけると思います。GT-001を購入予定の方も是非!


今回も「はじめに」の部分を公開致します。

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はじめに

 マルチ・エフェクターのフラッグシップ・モデルとして登場した BOSSのGTシリーズ。1996年に初代のGT-5が発売されてから、GT-100は6代目のモデルにあたります。その研ぎ澄まされたサウンド、多彩な機能、洗練された操作性などで世界中のギター・プレイヤーを魅了してきました。僕自身もそんなユーザーの1人です。

 一方、「GT-100って使うの難しいんでしょ?」とか、「機能が多すぎて使いこなせないかも......」なんて思っている人も結構多いようです。実は、GT-100 はビギナーでも簡単に使える工夫が随所に凝らされているので、操作自体はそれほど難しくはありません。また、 プリセット・パッチの中から気に入ったサウンドを選ぶだけでも充分に楽しめます。でも、せっかく手に入れたGT-100のもっと深いところまでを知ってほしい、というコンセプトでこの本を書きました。

 GT-100に内蔵されている膨大なエフェクターやアンプの解説や使い方、「コントロール・アサイン」を始めとした多彩な機能の設定方法、他の機材との組み合わせ、プレイするシチュエーションによる裏技的使用法などなど、基本的なことからかなりマニアックな使い方まで、様々な角度からの情報を網羅したつもりです。また個人的に仕事の現場などで撮りためてきた多くの機材の写真も大公開し ます。

 本書ではあえて「○ X 風サウンド」のような具体的な設定はあまり多くは記載せず、音を作る上での考え方を中心に執筆しました。大事なことは実際に音を出しながら操作してみること。最初はよくわからなくても、本書を参考に毎日触っていればきっと理解できるようになります。ツマミをグルグルどんなに回しても簡単には壊れませんから、ガンガンいろいろな実験をしてみてください。

 そして、2014年の春に「バージョン 2」が発表されました。しかも無料でアップデート可能です(GT-100のユーザーのみなさん、良かったですね! )。さらなる可能性を秘めた GT-100を使って、一 緒に音楽を楽しみましょう!

中野 豊