2014年8月31日日曜日

WAZA CRAFTシリーズ登場!〜BD-2W編

1995年の発売以来、BOSSコンパクトの中でも特に人気の高いBD-2。新たに「WAZA CRAFT」シリーズに「BD-2W」としてラインナップに加わりました。家に到着して以来、いろいろと実験しています。



オリジナルのBD-2の特徴

BD-2が発売された当時、それまでのミッド重視のオーバードライブとはサウンドがかけ離れていたし、「Blues」という名称に印象が引きずられていたことから、その良さが理解されなかった側面があったかもしれません。

しかしその後、クランチ系オーバードライブとして人気が爆発。様々な音楽スタイルで使用されるようになっていきます。

ここで改めてBD-2の特徴をまとめておきましょう。

・アタック感のあるクランチ・サウンド
歪み系エフェクターの多くはクリーン時と比較すると、アタックが潰れる傾向があります。特に低音弦を弾くとコンプレッションが掛かるものが多いのですが、BD-2はハッキリとしたアタックを残したまま歪ませることができるので、バンド内での存在感を失わないメリットがあります。

・幅広いレンジ感
フラットな音像なので、フルレンジのブースターとしても優秀。アタック感を失わないこともプラスに作用します。

・ボリューム操作によるスムースな追従性
ギター側のボリューム操作で完全なクリーンからドライブ・サウンドまで無段階に調整できます。ちゃんと使える音なのが嬉しいですね。

BD-2Wとモディファイ・モデル

あまりの人気ぶりからか、BD-2のモディファイ(改造)・モデルから各社から発売されていることをご存じの方も多いでしょう。これらはオリジナルのBD-2の回路のパーツを入れ替えることによって作られています。いくつかの製品を試してみた印象では、どちらかと言えば低域の質感が変化するモデルが多いような気がします。例えばこんなモデルとか…、


BD-2Wはこれらのものとは一線を画しており、BD-2の全てを知り尽くしたエンジニアによって、一から回路を再設計されていることが最大の違いです。


BD-2Wをテスト

スタジオでオリジナル・モデルと並べて検証してみました。


まずは「S(スタンダード)モード」から。旧モデルと同じツマミの設定だとやや甘めな印象ですが、「TONE」を上げることによって同様のサウンドが得られました。こちらもノイズ面での改良が施されているようです。

個人的にはBD-2Wは「C(カスタム)・モード」がオススメ。Sモードよりも濃密なサウンドに変化します。


「Sモード」の、ややサッパリ系なサウンドと比較すると、ミッドに粘り感が出てきます。特にシングルコイル系のギターでは、ガツンとしたアタック感はそのままに、弦毎の分離感が更に際立ちます。コード弾きからアルペジオ、そして単音弾きへとフレーズを変化させた場合も、違和感なくプレイできます。

「GAIN」ノブを上げた場合も、この印象は変わりません。どちらかと言えば歪みは控え目に使うことがデフォなオリジナル・モデルと比べると、いろいろな設定を楽しめる製品になっていると感じました。

アンプのキャラを変えずに、フルレンジ・ブースター的に使われることも多いBD-2ですが、ミッドレンジに腰が加わることによって、アンプ・サウンドを更にガッツがあって図太く仕上げることができますね。

ディスクリート回路とは?

今回の製品は「完全ディスクリート回路」とのことですが、文系ギタリストの中野としては「???」。ネットでググっても難しすぎてよくわからず…。そこで開発を担当されたBOSSのエンジニアに質問してみました。

どうやら簡単に言うと、回路内のパーツをかなり細かい部分まで選定し、設計しているということらしいです。エフェクターを作る場合、「オペアンプ」なるパーツが使われることもあるそうですが、今回はそれを使わない回路になっているそうです。

うーん、「オペアンプ」って何でしょう?これも訊いてみました。

『オペアンプというのは、いくつかのパーツが組み上がった状態の「信号増幅回路」で、多数のトランジスタを一つのシリコン・チップの上に集積して作られているもの』だそうです。

一方、『ディスクリート・アンプというのはオペアンプを使わずに、個別のトランジスタやダイオード/抵抗などを組み合わせて増幅機能を持たせた回路』とのこと。つまり、セット売りされているパーツではなくて、そのパーツ自体を目的に合わせて組み立てているということのようです。

コストは掛かるけど、よりこだわって設計するためにこの方法を採った、ということです。これで合ってるかな?

ギターを弾く人で使ったことが無い人はいないのでは?という程の人気のBD-2ですが、よりグレード・アップしたBD-2W、試してみてはいかがでしょうか?


2014年8月29日金曜日

WAZA CRAFTシリーズ登場!〜SD-1W編

いよいよ情報解禁になりました。

最近のBOSSの新製品には、従来は無かった様々なトライが行われていて驚かされることも多いのですが、今回の「WAZA CRAFT」シリーズもそんなチャレンジングな製品。長年に渡って人気の「SD-1」や「BD-2」、そして名機と呼ばれながら生産完了してしまっていた「DM-2」の3機種を、細部にわたり、こだわって新規設計したという期待のニューモデルです。


3機種ともノブ面にスイッチが搭載されていて、それぞれ「S」と「C」と記載されています。これは「スタンダード」と「カスタム」という2つのモードを切り替えることができ、前者はオリジナル・タイプのサウンド、そして後者が「WAZA CRAFT」ならではのサウンドを楽しめる仕様。


いつもお世話になっている、市川市行徳の「WILD FLOWER STUDIO」に行って弾いてきました。アンプは写真のようにJC-120とマーシャルJCM-2000を使用。個人的なレビューを書いてみます。


SD-1W=Super Over Drive

オリジナルの「SD-1」の発売は1981年。僕自身も学生時代からずっとお世話になっているモデルです。マイルドでタイトな低域が特徴的。オリジナルと今回のモデルを並べて弾いてみました。


まずはJCで確認。「S」モードにした時のサウンドはツマミの位置を同じにすれば、新旧のモデルでの違いはほとんどわかりません。どちらもSD-1ならではの、歪みの量はあまり多くはありませんが、甘く心地良いサウンドが特長です。

「C」モードにすると音が太くなったような…。よくよく分析的に弾いてみると、音の上下のレンジが広くなっているのがわかります。特に、オリジナルと比較すると低域がよく鳴っている印象です。歪みの量もやや増えていますね。音色が大幅に変化するのでは無く、上品に程良くサウンドが切り替わります。

オリジナルのSD-1ではややレンジが狭いと感じる場合や、使用ギターがハムバッカーのようにミッドが強い時にはこちらのモードを使うと良いかもしれません。

次にマーシャルでブースターとして使ってみました。今回使用したJCM 2000DSLのLeadチャンネルはハイが結構強いモデル。オリジナルのSD-1だとやや低域が削られ過ぎに思うこともあったのですが、「C」モードを使うことで艶やかで図太いリード・サウンドが!これは気持ちイイッス!!もう少し素直な「JCM 900」の場合は、オリジナルのSD-1との組み合わせもオススメなんですが、SD-1Wなら使用アンプによって「S」モードと「C」モードを切り替えて使えるのは便利ですね。


今回のシリーズではノイズ面でも改良がなされているので、このようなブースター的な使用法でもバッチリ使えます。これまでSD-1を使ってきたユーザーは勿論、他のモデルを使っている方にも是非試して頂きたいオーバードライブに仕上がっています。ご期待ください!!


残りの2機種についても近日公開予定です。

2014年8月18日月曜日

コンデンサーはピリリと辛い

エレキギターのトーン・コントローラーに必要不可欠なパーツがコンデンサー(=キャパシタ)です。トーンを下げると高域成分がカットされる仕組み。理論的にはトーンがフルの状態ならこの回路を取り外した状態と同じと言われていますが、この回路を通るだけで、わずかに高域が甘くなる傾向があると感じます。エレキギターの内部構成は1950年代以降、基本的には変わっておらず、とてもシンプル。数少ないパーツの一つであるコンデンサーを交換することでもサウンドの違いを楽しめるんですね。

ストラトの場合

ストラトは内部の回路にアクセスするのが厄介なギター。ピックガードを外すだけで無く、弦も一度緩めなくてはなりません。


このギターは89年製のダンカン。塗装にはやや赤みがありますが、54〜55年風スペックです。


真ん中のポットの上に載っているのがコンデンサー。これは「オレンジドロップ」というモデルが搭載されています。因みにストラト本来の回路は、それぞれフロント用、センター用のトーンになっていて、リアはトーンは効かないようになっていましたが、最近のストラトはセンター&リア用のトーンとして動作するようになっている個体が多いようです。このギターはマスター・トーンとして全てのピックアップに対して動作する回路になっています。なので、右のポットは未結線になっているわけ。(この写真は少し前に撮ったものなので、ピックアップは現在とは違うモデルが付いています)

テレキャスターの場合

実は僕が所有するギターの電装系の面倒を、継続的に見て頂いている方がいます。プロのリペアマンではないのですが、プロ並みの知識と技術を持った心強い味方。昨年買ったこのギターもその方の自宅にお邪魔して実験しながらコンデンサーの交換を行いました。その時に用意して頂いていたコンデンサーがこれ。


リペアショップにお願いする場合、あれこれ試してみるなんてことは不可能ですが、実際に搭載し、比較しながら音を聞くことはとても勉強になります。ストラトと比べると簡単に電装系にアクセスできるのもテレキャスの良いところ。


買ってきた当初は極小のセラミック・コンデンサーが搭載されていました。これの音も悪くは無かったのですが…。


この写真だと大きさがわかりにくいですね。それでは…、


見た目からの予断を排除するために、僕自身は目をつぶってプレイしながら比較。Kさんいつもながらスミマセン、そんな作業をさせてしまって…。


そして選んだのは同じセラミック系のヴィンテージ・コンデンサー。大きく音は変わらないのですが、若干深みが増したような。とても気に入っています。

レスポールの場合

ときどき、このブログでも書いていますが、レスポール・スタンダードのサウンドがなかなかしっくりこないのです。ピックアップ交換や弦のゲージ変更など、実験を繰り返しています。(以前の記事も是非、ご覧ください)
テンション感など、解決したこともあるのですが、どうもまだ低域が多すぎてブーミーなサウンドになってしまう傾向がありました。そこで、またまたKさんにSOS。今回はこんなブツを試させて頂きました。


なんと、ヴィンテージの「バンブルビー」と「ビタミンQ」。これまで搭載していた「BLACK CAT」から載せ替えてみると…、


低域がスッキリし、歪ませてもブーミーさが無くなってイイ感じ。ボリュームを絞った場合の音色変化もスムースになったような。コンデンサーの交換ではサウンドは変化しないという説もありますが、今回に限っては大幅に変わった気がします。数十年前のパーツで劣化していることが原因かも知れませんが、好ましい方向になったので良しとします。

Kさんを始め、さまざまな方の協力の下でギターを弾かせて頂いてきました。本当にありがとうございます。今後もよろしくお願いします!

2014年8月13日水曜日

BOSSの新しい箱

購入した商品が入っているパッケージ。デザインや質感が良いと、やっと手に入れたものを取り出すワクワク感は更に高まりますよね。

エフェクターが入っている箱のデザインも各社いろいろ。BOSSの従来のものは各モデルに合わせたカラーで選別しやすいのが特徴です。複数のモデルが混在していても一目でわかります。


今年の春に箱のデザインが一新されたのはご存じでしょうか?

発売時のビデオ撮影などでの演奏を僕が担当せていただく場合、できたてホヤホヤのエフェクターは中身だけが送られてくることも多く、箱だけ別便で到着することも。今年の春の新製品用の箱はこんな感じで宅配便で送られてきました。


もう何十年もBOSSの箱を見ていますが、組み立てられる前の箱を見たのは初めてかもしれません。箱の下側もこんな感じ。


従来は白い基調のデザインだったのですが、これも黒いものに変更になっています。組み立ててみると…、


今までのもポップで良かったですけど、シックでより高級感が高まりましたね。昔からお馴染みの既発モデルの箱もこのデザインに随時切り替わっていくそうです。

で、先週にはいよいよこれが届きました!渾身の新製品レビューは後日。ご期待ください!!


2014年8月8日金曜日

Tokyo Guitar Show2014のビデオ

先日の6月28日&29日に渋谷で開催された「Tokyo Guitar Show 2014」。今年は「GT-100 プロフェッショナル・セミナー」を担当致しました。その場面を収録した資料用のビデオを頂いたので、自分でiMovieで編集してみました。一台だけのカメラでの撮影ですし、音もカメラに搭載されているマイクでの録音なので、あまりクリアではありませんが、まあ、雰囲気だけはわかるかな?といった感じです。でも、GT-100のポテンシャルの高さは充分に伝わると思いますので、最後の曲だけでも聴いてみてください。

当日のレポートも合わせてご覧ください。

本番は25分程度の演奏でしたが、半分ぐらいの長さにダイジェスト編集しています。「プロフェッショナル・エフェクター・テクニック2」に掲載したネタの一部も音で確認できると思います。もしよかったらご覧ください。(PCの場合、画面右下のアイコンでフルスクリーンになります)



来年も出演できるでしょうか。楽しみです!



2014年8月3日日曜日

映画研究部だった

いや、タイトルに偽りありで、正確には「映画研究部」の人達に遊んで貰っていた、と書くべきか。いずれにしても正式な部員ではありませんでした…。

僕が通っていたのは、東京都武蔵野市にある「成蹊高校」という学校。なぜか映画作りが盛んな学校でもありました。上級生の映画集団「ホイチョイ・プロダクション」の学園祭での上映会はいつも長蛇の列だったなぁ。

さて、前回のブログで高校時代のバンドの連中に会った話を書きましたが、その中の何人かはバンドをやりながら、映研で映画も作っていました。映画といっても当時はまだビデオも無い時代。8mmカメラなんて書いても何のことやら、かもしれませんね。

一緒にバンドをやっていることもあってでしょうか、彼らの作る映画に出演させてもらったことがあるのです。ギターの寺田が脚本・監督、ベースの近藤は撮影を担当。写真はそのワン・シーン。ヘッヘッヘ、何かイイ役そうでしょ?


劇伴(映画音楽)もそのバンドで録音。僕にとっては役者よりそっちが本業ですから。左から我孫子(Drums)、後ろ姿の吉岡(Keyboard)、寺田監督(Guitar)、中野。


この時の映画で「全国高校8ミリ・フェスティバル」なる映画コンクールで賞を獲ったことも。自分の名前が「ぴあ」に初めて載ったのを見た時は嬉しかった。パソコンはおろか、ワープロも存在しない時代に、活字による自分の名前を見ることは極めてまれな出来事だったからです。

その後、ギターの寺田敏雄はTVドラマや映画の脚本家になった。Wikipediaを見るとずいぶんと沢山の作品に関わっているようです。スゴいな〜。

ベースの近藤洋史はフュージョン・バンド=「ハングライジ」時代までは行動を共にしていました。その後、90年代には女性ボーカルとの2人組ユニット「ELLIS」でのメジャー・デビューを経て、作・編曲家としても多くの作品に参加。最近はビデオ制作の仕事も行っており、ミュージシャンと2足のわらじ状態。実はBOSSのプロモーション・ビデオも数多く手がけていて、僕が演奏を担当している映像も彼の手によるものが多いのです。(左下のカメラマンが近藤です)


映研の後輩には、後にプロの映像作家として活躍する手塚眞君も在籍していて、その縁から彼の初期作品のいくつか(FANTASTIC★PARTY、MOMENT)の音楽を担当させてもらいました。

高校時代の真夏の河川敷。ロケでヘロヘロになるまで歩き回ったこと、それでもみんなで一つのものを作る楽しみを知ったことを、今もあまり変わらぬ景色のその場所を、自転車で訪れる度に思い出すのです。