2017年6月2日金曜日

待ってましたのBOSS MS-3登場!

 1年近く、ブログを休んでしまいました。昨年に出版した「プロフェッショナル・エフェクター・テクニック 4」の執筆で文章を書くのに疲れてしまったのかもしれません。何せ、長文を書いたのは大学の卒論以来、それを4冊も書いたのですから。はい、僕は元気です。

本来なら近況報告などをすべきかもしれませんが、とりあえずそれは置いておいて表題の件。個人的にも待望の新製品が発表になり、久々にブログを書きたくなってしまった、という次第です。

MS-3って何だ?

一見、スイッチャーのように見えるこの製品。実はスイッチャーとマルチ・エフェクターが合体したようなモデルです。3系統のループに好みのペダルを接続してコントロール。さらには内蔵されたエフェクターを組み合わせることで無限のサウンドを作り出すことができます。“GT-100”や“GT-001”に搭載されているエフェクトの内、「Pre Amp(アンプ・モデリング)」を除いたほぼ全てのエフェクトが搭載されています。「WARP」や「S.BEND」といった“ACCEL系”、「Tera Echo」や「OVERTONE」といった“MDPもの”、歪みエフェクター、モジュレーション系、空間系などを6系統を同時使用可能。ループに接続した3ループと自由に組み合わせられます。L1〜L3の接続順序を内部で変更はできませんが、内蔵エフェクトを個別にL1の前やL3の後ろには自由に配置できます。

※そうそう、“MS-3”にはBASS用のエフェクトも多数搭載されています。



ペダル・ボードに組み込んで使うことが想定されていることもあって、ライン接続やヘッドホンでのモニターを行いたい場合は、別の機材と併用する必要があります。ライブやセッションなどでアンプにつないで使って欲しい、ということなのでしょう。

こんな人にオススメ!

・歪み系などはお気に入りのペダルを使いたい人:“GT-100”にもSend/Returnがありますが、1系統だけですからね。1系統に複数台のエフェクトを接続し、ペダル側のON/OFFを切り替えれば、さらに多くのバリエーションが得られます。

・機材をコンパクトにしつつ、こだわりのペダルも併用したい人:「スイッチャーが便利なのはわかるけど、ペダル・ボードが大きくなりすぎ」なんて方にはピッタリですね。

ってなわけで、暫定的ですが、ボードに載せてみました。以前は5系統のスイッチャーで組んでいたボードなんですけど、まだまだスペースに余裕があります。実際に持ってみるとその軽さに驚愕。さすがに“GT-1”の手軽さには適いませんが、ギターと一緒の持ち運びも楽勝でしょう。“DD-500”などを載せてMIDI制御しても良いかも〜。




ここではL1に“ARCHER”、L2に“DS-1X”、L3に“ST-2”を接続していますが、「“ARCHER”の前段にフェイザーをつなげる」とか、“MS-3”内蔵の“OD-1”のモデリングで“ST-2”をブーストするなど、手軽にいろいろな実験を行えます。

カスタマイズも自由自在


実際に触ってみるとわかりますが、自分の使いやすいように自在にアサインを変更できる点も見逃せません。例えば、右上のフット・スイッチは通常は「メモリー・モード」と「マニュアル・モード」の切り替えで、長押しするとチューナーが起動するようになっていますが、逆の設定、つまり、通常はチューナーのON/OFFスイッチとして使い、長押しで「メモリー←→マニュアル」にするのも、いとも簡単に設定できます。






GTシリーズではお馴染みのアサイン系のカスタマイズもフル装備。本体スイッチや外部スイッチを自分の使いやすいようにアサイン設定可能です。また、各エフェクトのON/OFF状態もLEDで一目で確認できます。




発売は6月10日(土)に決定。うわっ、もうすぐですね。

公式サイトでも情報が公開になっています。基本的な使い方を解説したムービーも既に公開済み。因みにこの動画制作を担当させて頂きました。よかったらこちらもご覧ください。


下部のYouTubeのアイコンをクリックすると大きな画面、日本語の字幕付きで見られます。
または、右下のアイコンでフル・スクリーンにした後、歯車アイコンで字幕を設定できます。

今後はちょくちょく更新しますので、また見にきてください!

2016年6月25日土曜日

インピーダンスとバッファーの役割

間が空いてしまいましたね。スミマセン。こちらは元気でやってます。

BOSSのペダル型チューナーのニューモデル=”TU-3W”には内部のバッファー回路をON/OFFできるスイッチが搭載されています。これを使うと、接続を変更すること無く、簡単にバッファーの効果を確認できるんですね。いろいろテストしてみたら面白い結果が得られたのでレポートしてみたいと思います。


その前に簡単に「インピーダンス」について解説してみましょう。

ギターの出力インピーダンス

普通のエレキギターの出力インピーダンスは、シンセなどと比較すると高く(=概ね250kΩ以上で1000kΩ以下)、その結果、ノイズが乗りやすく、ケーブルの長さにも影響され主に高域成分が劣化しやすい特性になります。ギターから10m以上のケーブルを使うとかなり「ハイ落ち」するなんてことはご存じですよね?

しかも、そのインピーダンス値は一定ではなく、ピックアップの種類、ギター側のボリュームの設定、さらには周波数帯域(演奏する音域)などにも影響を受けます。まとめると次のようになります。

・シングルコイルよりハムバッカー搭載のギターのほうがインピーダンスは高い
・フルテンよりボリュームを半分~7掛け程度に設定するほうが高いインピーダンス
・高い音域のフレーズを弾くほうが、出力インピーダンスはより高くなる

これらの組み合わせでインピーダンス値が決まります。

エフェクターの入力インピーダンスにも注目!

数100kΩの高いインピーダンスのギター信号を、それよりも低い入力インピーダンスの機器に入力すると、音は大々的にこもります。例えば、「入力インピーダンス=16kΩ」の"RE-201”などような古い機材に、ギターをそのまま接続するとモコモコにこもってしまいます。


一方、近年のBOSSのコンパクト・モデルの仕様を確認してみると、

入力インピーダンス=1MΩ(=1000kΩ)
出力インピーダンス=1kΩ

となっています。”TU-3W”のバッファーをOnにした場合も同じスペックになります。

ギターの出力インピーダンスよりも、高い入力インピーダンス仕様のエフェクターの回路を通過すれば、ギターの信号はロス無く低いインピーダンス値に変換されます。BOSSのコンパクト・エフェクターのほとんどは、バイパス時もバッファー回路を通り、エフェクト・オフ時もインピーダンス変換が行われます(このような回路は「バッファード・バイパス」と呼ばれます)。

低いインピーダンスに変換すると、
・外来ノイズに強い。
・長いケーブルなどを使っても劣化(主にハイ落ち)しない
・多数のエフェクターを直列にしても劣化しにくい
・スイッチング・ノイズが無い

などのメリットがあります。

「長いケーブル」というのは「エフェクター以降」のケーブルのこと。ギターからエフェクターまでを長いケーブルで接続すれば当然ハイ落ちします。

※もっとも、このハイ落ちを狙って敢えて長いケーブルを使う人もいます。カールコードとかね。

検索すればさらに詳しい解説がいろいろ読めると思います。島村楽器さんのサイトにもわかりやすい記事がありました。→こちら

エフェクターを直列接続して実験

さて、ここからが本題。バッファーは上記のメリットがある反面、何度も複数のバッファーを通れば、多少、音質に影響がでます。一方、バイパス・オフ時にバッファーを回避する仕様の回路を搭載したモデルは「トゥルーバイパス」と呼ばれ、バッファーの影響は回避できる反面、バッファーのメリットがそのままデメリット、つまり、「ハイ落ち」、「ノイズ」などのリスクとして現れます。

バッファーをオフに設定したスイッチャー”ES-8”を使って、8個のモデルのエフェクトをオフ状態で接続して実験してみました。全てがバッファード・バイパスのモデルの場合は、音質的な変化よりも若干音量が下がる傾向です。個人的にはわずかに低域が削れる印象も。

一方、全てトゥルーバイパス機を8台つなぐと大幅に高域が削られた、よく言えばマイルド、悪く言えばこもったサウンドになりました。


多数のエフェクターを直列で接続する場合、個人的にはどこかでバッファーを通してロー・インピーダンスに変換したほうが扱いが楽と感じていますが、組み合わせや接続順によってサウンドが異なってくるので注意してください。

回路による音の違い

そこで、今度は代表的な回路を搭載したモデルの前段に"TU-3W"を接続し、バッファーを切り替えた場合の影響について考えてみました。どちらが良いとか悪いとかではなく、音の変化の傾向だけを理解していただければOKです。トゥルーバイパス・モデルのインピーダンス値はエフェクト・オンの時だけ有効になります。

・TU-3W→ファズ・フェイス
前回の記事でも書きましたが、ジム・ダンロップ製のファズ・フェイスはトゥルーバイパス仕様。エフェクト・オン時の入力インピーダンスは10kΩとかなり低いため、ギターを直接接続した場合と、バッファーを介して接続した場合では、音色やギター側のボリューム操作時の振る舞いが全く異なり、特にボリュームを少しでも下げると急激に歪み量が減るのが特徴です。60年代当時のサウンドを求めるなら、TU-3Wのバッファーをオフにするか、ファズ・フェイス→TU-3Wの順で接続すればOKです。


・TU-3W→TS9
Ibanezの"TS9"はバッファード・バイパス機。入力インピーダンス=「500kΩ」なので、ギター直後に接続した場合はバイパス時も若干甘いサウンドになります。したがって、TU側のバッファーをオフにするとややマイルドに、オンにするとフラットなサウンドになります。実はBOSSの現行モデルでも”SD-1”と”DS-1”だけは入力インピーダンス=「470kΩ」。ギター直なら同様にやや甘いサウンドになる傾向です。


※エフェクト・オン時のサウンドも前段のバッファーのON/OFFで音が変化します。

・TU-3W→BD-2
“BD-2”は入力インピーダンス=「1000kΩ」、出力=「1kΩ」。インピーダンス的には”TU-3W”の設定に関係無く、”BD-2”の出力はローインピーで固定。パッチケーブル1本分だけハイ落ちするものの、耳では違いはわからないのでは?”TU-3W”のバッファーはお好みで。


・TU-3W→EP Booster
「Xotic」製のこのモデルはトゥルーバイパス仕様。エフェクト・オン時は入力インピーダンスが「1MΩ」、出力側が「2kΩ」。バイパス時はTUの出力インピーダンスが保持されます。

A. ”TU-3W”=バッファー=オフ、"EP Booster"がバイパスの場合:
ハイ・インピーダンスのまま次の機器に出力されます。

B. ”TU-3W”=バッファー=オン、"EP Booster"がバイパスの場合:
ロー・インピーダンスの信号が保持されます。

C.  ”TU-3W”=バッファー=オフ、"EP Booster"のエフェクト=オンの場合:
"EP Booster"の入力インピーダンスがが高いので、フラットなままロー・インピーダンス出力。エフェクトが掛かるので音色自体も変化します。

D.  ”TU-3W”=バッファー=オン、"EP Booster"のエフェクト=オンの場合:
「C」とサウンド的にはほとんど同じ。”EP Booster”のON/OFFを切り替えて使用するならTUのバッファーはオンが良いかも。(どの状況でもインピーダンスが安定するから)

”EP Booster”→”TU-3W”と接続して、状況によってTU側のバッファーの設定を考える方法もあります。


・TU-3W→Sweet Honey OD(SHOD)
「Mad Professor」の歪み系はモデルによって入力部の回路が異なっているようですが、このモデルはトゥルーバイパスで入力側は「260kΩ」、出力インピーダンスは「25kΩ」。状況によってインピーダンスが変わるので結構ややこしいですね。


A. TU側のバッファー=オフ、SHODのエフェクト=オフの場合:
ギターからのハイ・インピーダンスのままの信号が出力されます。

B. TU側のバッファー=オン、SHODのエフェクト=オフの場合:
TUの出力インピーダンスが保持されます。

C. TU側のバッファー=オフ、SHODのエフェクト=オンの場合:
ギターをSHODに直接つないだ場合と同等。SHODのインピーダンスが低めなので、ファズ・フェイスほどではないものの、ややマイルドで、ギター側のボリューム設定などにクセが出ます。信号はロー・インピーに変換されて出力されます。

D. TU側のバッファー=オン、SHODのエフェクト=オンの場合:
SHODにロー・インピー(1kΩ)が入力されるので、「C」とはサウンドも振る舞いも異なります。

「ギター→SHOD」のサウンドを重視するなら、これも「SHOD→TU-3W」と接続した方が良さそうですね。後段に何を接続するかにもよりますが…。

・TU-3W→Phase 90
70年代当時のMXRのモデルは、エフェクト・オフ時にはバッファーは通らないものの、回路の一部を経由して出力されるやや特殊な設計になっています。エフェクト・オフ時の信号ロスを改善する目的で”TU-3W”のバッファーをOnにするのがオススメ。


これらのことを踏まえていろいろ実験してみてください。でも、実際にはこれらが混在する形でエフェクターを使用することになり、それぞれのエフェクトのON/OFF状況によって事態はさらに複雑化します。これは、先日のセッションに持って行ったセット。うーん、悩みます。


JC-120とバッファーの話

スタジオなどで"JC-120"を使って実験したことはありませんか?「直接JC-120にプラグインした場合と、バッファー回路を通ったエフェクターを介して接続すると音が違う」と感じた人もいるでしょう。実際に”TU-3W”のスイッチを切り替えながら"JC-120"でプレイすると、確かにわずかながらサウンドが異なりました。


“JC-120”のスペックを確認すると、入力インピーダンスは「680kΩ」になっています。フェンダーなど、「1MΩ」に設定されているアンプの入力インピーダンスと比べてやや低い数値です。「ギターを直接JCに接続」し、「ハムバッカーで」、「ボリュームをやや絞って」、「高い音域を弾く」、つまりより高いインピーダンスで入力すると、バッファーを通した場合と比較すると、若干音が甘くなるのが確認できると思います。これが「BOSSのエフェクターを通すと音がブライトに聞こえる」理由なのです。逆に、トゥルーバイパスのモデルだけを多数直列で"JC-120”につなぐと、バイパス時にはかなりハイ落ちするっていうことは覚えておくと良いと思います。まあ、JCをアンプ直で鳴らす人は少ないでしょうし、1個以上のバッファーを通せばOKということです。


また、“JC-120”の「LOW」インプットは更にインピーダンスが低い(=100kΩ)ので、バッファーを通らない信号は接続しないほうが無難です。

※エフェクター前段にワイヤレス・システムを使った場合や、ギター側にプリアンプが内蔵されている場合は、常にロー・インピーダンスになります。念のため。

今回は長文かつ専門的な内容になってしまいましたが、お役に立てたでしょうか?たまにはゆるい記事も書きたいと思う、今日この頃です。

註:「トゥルーバイパス」という言葉は、機械式スイッチ仕様の古いモデルを含む場合と、90年代以降のLED表示を可能にしつつ、バイパス時にバッファーを通らないモデルだけを指す場合とがあるようです。今回のこの記事では前者も「トゥルーバイパス」と表記しました。


2016年6月3日金曜日

TU-3Wとチューナーの話

 いよいよ「技クラフト・シリーズ」のチューナー=”TU-3W”が発売になります。5機種目の技クラフト・モデルということですね。


主なスペックは以下の通り。
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・技WAZA CRAFT の魂が宿った世界標準のペダル・チューナー。
・定評あるチューニングとプレミアムなバッファをひとつのペダルで両立。
・世界標準のチューニング機能をTU-3 からそのまま踏襲。
・オーディオ回路を新たに設計し直し、今までになくピュアな信号伝達を実現。
・バッファとトゥルーバイパスの切り替えにも対応。
・安心の長期5 年保証。

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ブルーのインジケーターがカッコイイ!


TU-3などと同様に左側のスイッチを長押しすることで「高輝度モード」になります。野外などで使用する場合などに明るく表示させることができます。


詳細はBOSSの公式サイトでご確認ください。

チューナーが無かった時代

 アマチュア時代(1970年代中盤)を思い返すと、便利なチューナーなんていうものは存在せず、ピアノや音叉(おんさ)に合わせて耳でチューニングするしかありませんでした。これが音叉さ!!見たことも無いなんて人もいそうです。


 70年代の後半になると、廉価なモデルが各社から発売になります。BOSS製としては、下の写真の左上の”TU-120”(1978年発売)が第一号機のようですね。最初はLED仕様だったんですね。僕にとっての最初のチューナーは針式のKORG製”GT-6”。購入した時はメチャクチャ嬉しかったですね。


 BOSS製針式モデル(上写真の右上)の”TU-12”が1983年に発売になると、チューナーのスタンダード機としてロングセラーに。個人的にも84年の”TU-12H”(下写真中央)と合わせたら、5台以上は買ったような気がします。(奥は"TU-15"、手前は"TU-80")


 1998年にコンパクト型チューナー=”TU-2”(右)が発売になるとこれが大ヒット。BOSS社内でもこれほど売れるとは思っていなかったらしいですよ。そしてその後継機が現行の”TU-3”(左)というわけです。


ニューモデル=”TU-3W”の特長

”TU-3W”はチューナー機能に関しては従来のモデルと変わらないのですが、色づけの少ないサウンドが持ち味のバッファー回路とトゥルーバーパスを切り替え可能になっています。

 そこで、スイッチャー=”ES-8”を使ってバイパス時にサウンドの違いが現れるかどうかを実験してみました。ES-8のループにTU-3W”と”TU-3”を接続して、ES側のバッファーのON/OFFやTU-3Wのアウトプット・スイッチを切り替えながらサウンドチェックを試みたのですが、チューナー単体を使っているだけではそれほど大きな違いは認められませんでした。後段に多数のエフェクターを接続する場合や、特殊な機材に接続する時に威力を発揮するのではないかと思われます。また、大音量での使用時にはノイズ面でのメリットがありそうです。


バッファーとトゥルー・バイパス

 BOSSのコンパクトとしては初めて「トゥルー・バイパス機能」が搭載されました。バイパス時にバッファー回路を通るか否かを、スイッチ1つで切り替えられる点がユニーク。使用環境によって簡単に切り替えられるので、耳に聞こえるサウンドを基準に選択可能というわけです。前述のように、トゥルーバイパスのエフェクターを直列で多数接続する場合や、ライブ時の立ち位置からアンプまでの距離が遠く、長めのケーブルを使用する必要がある場合はバッファーをOnに、後段にバッファー搭載モデルを接続したり、TU-3Wをエフェクターの最後段に接続する場合はトゥルー・バイパス側を選択するほうが良いかもしれません。因みにトゥルー・バイパス回路搭載のエフェクターも、ほとんどのモデルはエフェクトをOnにした場合はバッファーを通ることも覚えておきましょう。


 ハイ・インピーダンス入力が前提の古いファズやワウペダルの場合は、バッファーをスルー(=トゥルー・バイパス)を選択したほうが本来のサウンドになります。BOSSの”PW-3”や写真のようにファズ・フェイス系を後段に接続する場合は、そのサウンドは激変しますので試してみてください。(絶対的にバッファーOFFが良いということではありませんよ!お好みで選択してね)


 実はこのTU-3Wの回路は通電されていない場合は、スイッチの位置に関わらずトゥルー・バイパスに自動的に切り替わる仕様になっています。電源ケーブルの断線や電池切れなどのトラブル時も信号経路は途切れない配慮がなされているのです。

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まだまだ、ネタ的には書き足りないのですが、長くなってしまったので続きは次回に。お楽しみに!

2016年5月21日土曜日

BOSSの新チューナー=TU-3S登場!

先のドイツで開催されたフランクフルト・メッセでBOSSの新しいチューナーが発表になりました。まずは、見た目もカワイイ"TU-3S"をお借りしてテストしてみました。

“TU-3S”はこれまでの”TU-3”のフットスイッチ部を省略し、小型化&軽量化したモデルです。手のひらに載せてみるとその軽さが実感できます。ノーマルの”TU-3”と違うのは、「チューニング機能のOn/Offスイッチが無いこと」、「バイパス・アウト・ジャックのカット」、「ACアダプターのみで動作」という点。


また、パネル面に傾斜が付けられているところも特徴。


机上やアンプの上、立ち位置から離れた場合など、前方から見たときの視認性がアップしそうです。


他のエフェクターへの電源供給機能はこれまで同様に搭載。2系統のパラレルDCコードが同梱されています。


ボリューム・ペダルやスイッチャーのチューナー・アウトに接続しているユーザーには特にオススメ。エフェクター・ボードの省スペース、軽量化にもつながります。僕も早速ボードに載せてみました。


BOSSのコンパクト型チューナーの人気の秘密は、スピーディーにチューニングを行えるところ。表示が速く、しかもふらつきが少ないので、ライブ時の曲間などで時間の余裕が無い場合でも安心です。プロのユーザーが多いことも納得です。

TU-01も!

また、”TU-01”という新しいクリップ式チューナーも発表になっています。チューニングが合うとディスプレイ全体の色が「白」→「緑」に変わるのでわかりやすいですね。



何と技クラフト・シリーズの”TU-3W”も新登場。こちらは次回の記事で詳しくご紹介しましょう。

2016年5月15日日曜日

ずっと欲しかったモノ

ライブやセミナーなどが仕事のメインだった頃に比べると、ここ数年で家で過ごす時間が圧倒的に増えました。音源制作や原稿執筆など長時間に亘って机に向かってする仕事も多くなってきています。これまで自宅で使っていたイスは、20年くらい前に近所のホームセンターで購入したボロボロのオフィス・チェア。2万円もしなかったように記憶しています。

ホームセンターにて

ニトリやイケア、ホームセンターなどに行った時に、ついつい立ち寄ってしまうのがオフィス・チェアの売り場。高級なワークチェアに腰掛けてみると確かに座り心地は最高です。でも値段はどれも非常に高価(8万円〜20万円)。「エルゴヒューマン」、「岡村製作所」、「ハーマンミラー」というメーカーの製品がこの分野の売れ筋のようですね。特に「岡村製作所」の”コンテッサ”というモデルはそのまま寝てしまえるのではないか、と思えるほどの快適さ。いつかこんなイスが買えたらな〜、などと思ってました。

きっかけは故障!

今年(2016年)の1月頃。4月に発刊予定だった「プロフェッショナル・エフェクター・テクニック 4」の原稿執筆が佳境に入ったある日、これまで使っていたイスの座面の高さ調整がついに出来なくなってしまいました。机にあごを載せるようにキーボードを叩く姿は情けなくて人には見せられません。どちらにしても代わりのイスを早急に購入する必要があり、「エイヤ!」とばかりにポチってしまったのが、ハーマン・ミラーの”アーロンチェア”というイスだったのです。


何故、アーロン・チェアを選んだのか

試座した時に気に入った"コンテッサ"ではなく、"アーロンチェア"を選択したのかは以下の理由からです。

・失敗を恐れたから
いきなりネガティブですが、いろいろと悩んでいる時間が取れないこともあって、レコーディング・スタジオなどで定番のモデルにしておけば安心かと考えたから。でも、15万円もの出費ですから、製品が届くまではドキドキしました。

・夏、涼しそう
楽器を演奏するには、メッシュ仕様は暑い日も涼しそう。これから夏になってどうなるか、楽しみです。

・12年保証
高価なイスではありますが、使用期間を考えれば意外に単年ごとのコストとしては高くないのかも、と考えたから。しかも、メーカーの保証が12年も付いているとのことなので。クルマよりも長い付き合いになりそうですからね。

実際に使ってみて

結論から書けば、ワークチェアと呼ぶに相応しい、仕事に向き合うにはうってつけのモデル。メッシュが体にフィットして、集中して楽器やパソコンに向かっていても疲労感はとても少ない印象です。そういえば、腰痛にもならなくなりました。正しい姿勢が保たれることも影響しているのでしょうか、就寝時の寝付きも良くなったような気がします。

一方、常に臨戦態勢で、どのように調整してもリラックスできるイスではありません。リクライニングは可能ではありますが、固定することはできませんし、ヘッドレストが搭載されていないので、くつろいでの読書やCD鑑賞、ましてや昼寝などには全く向きません。それ用のイスがもうひとつ欲しいかも…。

ひじ掛けの調整

キーボード入力時、机の高さに合わせてアームレストの高さを調整し、左右を閉じることで肘を固定できます。個人的にはあまり使いませんが、座面を前傾姿勢に固定することも可能です。


ギターを弾くときはアームレストを広げて、浅めに座ればOK。どうしても邪魔に感じるなら高さを最低位置まで下げることも可能です。


因みに、レコーディング・スタジオのアーロンチェアはコントロール・ルームに置いてあることが多く、プレーヤー用は写真のようなひじ掛けの無いイスが用意されます。


というわけで、今のところ購入したことは後悔していませんが、使う人によっては評価も異なるかもしれません。個人的には、なるべく大事に長く使っていこうと思っています。

2016年5月11日水曜日

80年代後半の機材

1980年代の後半になると、少しづつですがライブの仕事が増えてきます。大江千里さんや麗美さんの仕事に加え、中原めいこさん、斉藤由貴さん、和田加奈子さん、種ともこさん、などのライブも思い出深いです。

衝撃的な"GP-8"のデビュー

1987年の初頭、世界で初めてのプログラマブル・マルチ・エフェクター=「GP-8」の広告がギターマガジンに掲載されました。本体価格は¥99,800。計8種類のエフェクター(オート・ワウ、コンプ、オーバードライブ、ディストーション、イコライザー、フェイザー、ディレイ、コーラス)を内蔵。これらを自由に組み合わせたパッチメモリー機能、ディレイ前にインサート可能なセンド・リターン端子、MIDIや外部コントローラー端子など、1Uラックにこれらが収められた画期的な仕様で、僕自身もすぐに楽器店で予約しました。発売日(1987年3月27日)にフットスイッチ=FC-100(¥29,800)と一緒に入手して、1992年頃までメインのエフェクターとして使用していました。

当時の機材リスト

で、これがその頃の機材写真です。(各写真はクリックで拡大表示できます)


仕事の内容によって若干入れ替えはありましたが、基本的にはこんなセットでプレイしていました。ラック上からワイヤレス・システム、パワー・ディストリビューター(以上はレンタルで詳細は不明)、Rockmanのオーバードライブ(予備用)、”GP-8”、dbx=“160X”(コンプ)、Procoの”R2DU”(RAT×2台内蔵)、ローランドのディレイ=”SDE-3000”という布陣。歪みはオーバードライブ系はGP-8内蔵、ディストーション系はRATを使い分け。GP-8のダブリング→SDE-3000のロング・ディレイなどもよく使う設定でした。

アンプはセイモア・ダンカンの真空管アンプ="Convertible 100"。これは5本のプリ管がカセット式になっていて(Normal、Classic、Presence、High Gainなど)、組み合わせによってサウンドを変化させることができました。2台のアンプはクリーン・セッティングにしてコーラスでステレオにしています。


足元はGP-8のコントロール用のFC-100が中心。EV-5でGP-8のボリュームをコントロールしたり、チューナー用のアウトの装備など、後のマルチ・エフェクターに継承されている機能は既に備わっていました。右側の黒い箱はRAT用のOn/Offスイッチ、左のFV-100(ボリューム・ペダル)はエレアコ用です。


これはもう少し後に自宅で撮影したラック・エフェクター群。GP-8や160Xの他にレコーディングでよく使ったBOSSの”GL-100”やRocktoronの”PRO GAP”といったプリアンプも写っています。他にも、Roland "DEP-5"、Yamaha "SPX-90"、Sony "MU-R201"、ALESIS "Quadraverb"などなど、空間系を中心に沢山買いました。

GP-8の弱点

最強のマルチ・エフェクター="GP-8"の唯一の弱点は、"FC-100"と本体を接続する専用ケーブルが断線しやすかったこと。80年代のある日、ライブのサウンド・チェック時に断線が発覚し、予備も持っていなかったことで困り果てたことがありました。会場は当時新宿にあった「日清パワーステーション」。「ミュージックランドKEY新宿店」に駆け込むも、そのケーブルは取り寄せになるとのこと。途方に暮れたのですが、何と店頭用の備品のケーブルを貸してくださって、何とかその日のステージを乗り切った、なんてこともありました。多くの人の助けがあって今があることを忘れてはいけませんね。

マルチ・エフェクターの進化

“GP-8”はアンプ・シミュレーター的なものこそ搭載されていませんでしたが、現代のモデルのほとんど変わらない仕様。それだけ完成度が高かったということなのでしょう。その後のフット・マルチ=”ME-5”(1988年)やプリアンプ=”GS-6”(1989年)など、発売される全モデルを購入して愛用していました。その後、僕自身がRoland/BOSSの仕事に関わるようになるとは…。当時は夢にも思っていませんでした。


2016年5月4日水曜日

エレアコ用プリアンプはこれで決まり!~VE-8登場!

BOSSの新製品「弾き語りボーカリストのためのオール・イン・ワン機器」 Acoustic Singer=”VE-8”が発売になりました。ボーカル用エフェクト+ギター用エフェクト+ルーパーが一体化されたこのモデル。演奏ながら歌うことが楽しくなる製品です。


エレアコをライブで使う

レコーディングでは、ほとんどの場合マイクを使ってアコギを録音しますが、ライブに於いては何らかのピックアップを搭載したエレアコを使います。ピエゾ・ピックアップの他、マグネット型やコンデンサー・マイク型もありますが、いずれにしてもマイクで録音したようなサウンドにはなりません。それを程良く「マイク録り」風のサウンドに調整するための「エレアコ用プリアンプ」が各社から発売されています。しかし、この「ピエゾ」独特のサウンドは、ライブ時には音抜けが抜群に良いこともあり、一概には「悪い音」とは言えないところがミソなのです。

VE-8のギター用エフェクト

本格的なエレアコ用プリアンプと比較しても勝るとも劣らない、心地良さとヌケの良さを両立することができるサウンド。最小限のコントローラーですが、「Acoustic Resonance」と「Shape」スイッチだけで多彩なバリエーションが得られます。前者は最小値ではピックアップのピュアなサウンドになり、ツマミを上げていくとアコギらしい響きに連続可変で微調整することができます。「Shape」はギターを4種類のキャラクターに変更できる機能。図太いブルージーなサウンドから煌びやかなサウンドまで、フレーズや使用ギターによって選ぶ事ができます。高品位なリバーブのモード変更(ホールやルームなど)も勿論可能です。


VE-8をアコギ用プリアンプとして使った場合、「ナチュラル」な響きが得られる点がとても気に入りました。ギター本体のキャラクターを殺さずに、演出過多にならない自然なサウンドが得られます。どんな楽器を使っても、ピエゾ・ピックアップからのサウンドは似たような音になってしまいがちですよね。今回、ハイランダー製PU搭載のマーティンD-35とフィッシュマン搭載のギブソンLG-2で試してみましたが、生音の違いがそのままVE-8からの出力で認識できたのには驚きました。


フットスイッチには「CHORUS」と記載されていますが、8種類のタイプに変更可能。しかも3種類まで同時に使用できます。個人的にはソロ用にディレイを使う場面が増えそう。今までライブではBOSSの”AD-8”を使ってきたのですが、今後の仕事ではVE-8に置き換え決定です。


ボーカル用エフェクト

こちらのサウンドもナチュラル。「Enhance」と「Reverb」を掛けるだけで、生声だけよりも心地良く歌うことができます。久々にビートルズの曲とかを歌いまくってしまいました。ギターのコードに追従させてコーラスを付加できるハーモニー・エフェクト(キー指定も可)、プロ・ボーカリスト御用達の”VE-20”でもお馴染みのピッチコレクトや「ラジオ・ボイス」なども楽しめます。瞬時に全てのエフェクトをバイパスできる機能はライブでのMC時に重宝しそうです。


ギターとボーカルのエフェクトの組み合わせをパッチとして50個まで保存できます。

ミキサーとしてのVE-8

弾き語りミュージシャンにとっては、VE-8本体にイヤモニを接続するだけで、簡単にプロ同様の環境を構築できます。ステージで最も重要なモニター・サウンドをPAエンジニアの手を煩わすことなく最良の状態に仕上げることができるのです。ボーカルとギターのバランス、リバーブの調整も手元で行えます。しかも、4系統の出力のアサインも自由自在。歌とギターをパラで別チャンネルに送ったり、イヤモニ側だけにリバーブを掛け、アウトプットではドライ音を出力したり、などと状況に応じた設定も可能です。



チュートリアル・ビデオ

このVE-8の基本的な機能を説明したビデオがYouTubeで公開になっています。上記の映像もその一部です。恥ずかしながら、少しだけ歌ったりもしていますが、よかったらご覧ください。(YouTubeにリンクしています)