2015年11月8日日曜日

BOSS PW-3 レビュー

 BOSSの新しいワウ・ペダル="PW-3"が発売になりました。ワウは多くのギタリストにとって必携のエフェクターですよね。今回のモデルは、前モデルの"PW-10"が2011年に生産完了になってから、長期の開発期間を経て登場しただけあって、非常にハイクオリティな製品に仕上がっています。主な特徴から見ていきましょう。


外見と概要

 BOSSブランドのワウ・ペダルには、1979年発売の「Rocker Wah」="PW-1"、1991年の"FW-3"(写真右)、2002年の"PW-10"(写真左)というラインナップがありました。


旧モデルと並べると、PW-3が非常に小型化&軽量化されているのがわかると思います。にも拘らず実際に使ってみると、床に対してグリップが安定しているので、踏んでいる間に動いてしまうようなことは全くありません。エフェクター・ボード内にも楽勝で収納できるサイズでもありますね。エフェクトのON/OFFのインジケーターは左右の側面の2箇所に付けられているので、足を上に置いている場合でも、どちらかのLEDが見えるので現状がすぐに確認できます。


前モデルのPW-10は、モデリングされたさまざまなワウ効果を切り替えられたり、同時に歪み系を使用することもできたのに対し、PW-3はシンプルなアナログ仕様のワウ・ペダルになっています。ペダルの可変幅も極めてワウらしい使い易い角度になっています。



同サイズのフット・ボリューム="FV-30L"と比較してみてください。


ワウ・ペダルのON/OFFスイッチは柔らかいと踏んでいる間に切り替わってしまったり、硬いと踏み損なってしまったりと調整が必要なのですが、搭載されているゴムを外したり、付属のゴム片を貼り付けるなどして調整できます。家で裸足で踏んだときに丁度良い硬さにしてしまうと、ライブで盛り上がったときに失敗しますから、自宅ではちょっとスイッチが切り替えにくい、と思う程度に調整するほうが良いと思われます。勿論、ペダルのトルクの強さも変更可能です。電池交換が簡単なのも地味に良いです。

VINTAGE MODEとRICH MODE

 このPW-3の最も優れているところはそのサウンド自身。パネル部のスイッチで2つのモードを切り替えられるようになっています。「VINTAGE」モードでは、額面通りのヴィンテージ・サウンドを手に入れることができます。写真の60年代の「VOX」製のワウとかなり似た質感に感じました。


実は、ジミヘンなどの時代のワウ・ペダル・サウンドにはちょっとした秘密があるんです。ギターから出力された高いインピーダンスの信号を直接ワウに接続したときと、モダンなエフェクター(バッファー内蔵のモデル)を通した後段に接続した場合とでは、動作や音色が異なることが知られています。これは、一部の古い設計のファズやワウだけに見られる現象なんですね。製品マニュアルに接続方法の図が記載されていますが、一般的なギター側の最前段にワウを接続する手法を示しているだけでは無く、このモデルの良さを引き出すためにこの接続順を推奨しているのです。
 しかも、バイパス時には上質なバッファーを通るようになっているので、直列時にエフェクトをオフにしても音が劣化してしまうこともありません。


どのように音が変化するかは、BOSSのスイッチャー="ES-8"の「インプット・バッファー・スイッチ」を使うことで簡単に実験できます。ES-8のループにPW-3を接続し、インプット・バッファーをオフにした瞬間にワウ・ペダルにありがちな耳に痛い帯域の音が削られて、ファットでマイルドな音に。こりゃライブで使うのが楽しみです!


ヴィンテージ・サウンドの追求だけではなく、従来のワウペダルの「低域が無くなってしまう弱点」を払拭した「RICH MODE」にも切り替え可能。バンド・アンサンブルの中でどちらが使い易いか、手に入れたら試してみてください。
 これらに関しての実験を自宅で行い、簡単な動画を作ってみました。こちらも是非、ご覧ください。


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