2016年5月11日水曜日

80年代後半の機材

1980年代の後半になると、少しづつですがライブの仕事が増えてきます。大江千里さんや麗美さんの仕事に加え、中原めいこさん、斉藤由貴さん、和田加奈子さん、種ともこさん、などのライブも思い出深いです。

衝撃的な"GP-8"のデビュー

1987年の初頭、世界で初めてのプログラマブル・マルチ・エフェクター=「GP-8」の広告がギターマガジンに掲載されました。本体価格は¥99,800。計8種類のエフェクター(オート・ワウ、コンプ、オーバードライブ、ディストーション、イコライザー、フェイザー、ディレイ、コーラス)を内蔵。これらを自由に組み合わせたパッチメモリー機能、ディレイ前にインサート可能なセンド・リターン端子、MIDIや外部コントローラー端子など、1Uラックにこれらが収められた画期的な仕様で、僕自身もすぐに楽器店で予約しました。発売日(1987年3月27日)にフットスイッチ=FC-100(¥29,800)と一緒に入手して、1992年頃までメインのエフェクターとして使用していました。

当時の機材リスト

で、これがその頃の機材写真です。(各写真はクリックで拡大表示できます)


仕事の内容によって若干入れ替えはありましたが、基本的にはこんなセットでプレイしていました。ラック上からワイヤレス・システム、パワー・ディストリビューター(以上はレンタルで詳細は不明)、Rockmanのオーバードライブ(予備用)、”GP-8”、dbx=“160X”(コンプ)、Procoの”R2DU”(RAT×2台内蔵)、ローランドのディレイ=”SDE-3000”という布陣。歪みはオーバードライブ系はGP-8内蔵、ディストーション系はRATを使い分け。GP-8のダブリング→SDE-3000のロング・ディレイなどもよく使う設定でした。

アンプはセイモア・ダンカンの真空管アンプ="Convertible 100"。これは5本のプリ管がカセット式になっていて(Normal、Classic、Presence、High Gainなど)、組み合わせによってサウンドを変化させることができました。2台のアンプはクリーン・セッティングにしてコーラスでステレオにしています。


足元はGP-8のコントロール用のFC-100が中心。EV-5でGP-8のボリュームをコントロールしたり、チューナー用のアウトの装備など、後のマルチ・エフェクターに継承されている機能は既に備わっていました。右側の黒い箱はRAT用のOn/Offスイッチ、左のFV-100(ボリューム・ペダル)はエレアコ用です。


これはもう少し後に自宅で撮影したラック・エフェクター群。GP-8や160Xの他にレコーディングでよく使ったBOSSの”GL-100”やRocktoronの”PRO GAP”といったプリアンプも写っています。他にも、Roland "DEP-5"、Yamaha "SPX-90"、Sony "MU-R201"、ALESIS "Quadraverb"などなど、空間系を中心に沢山買いました。

GP-8の弱点

最強のマルチ・エフェクター="GP-8"の唯一の弱点は、"FC-100"と本体を接続する専用ケーブルが断線しやすかったこと。80年代のある日、ライブのサウンド・チェック時に断線が発覚し、予備も持っていなかったことで困り果てたことがありました。会場は当時新宿にあった「日清パワーステーション」。「ミュージックランドKEY新宿店」に駆け込むも、そのケーブルは取り寄せになるとのこと。途方に暮れたのですが、何と店頭用の備品のケーブルを貸してくださって、何とかその日のステージを乗り切った、なんてこともありました。多くの人の助けがあって今があることを忘れてはいけませんね。

マルチ・エフェクターの進化

“GP-8”はアンプ・シミュレーター的なものこそ搭載されていませんでしたが、現代のモデルのほとんど変わらない仕様。それだけ完成度が高かったということなのでしょう。その後のフット・マルチ=”ME-5”(1988年)やプリアンプ=”GS-6”(1989年)など、発売される全モデルを購入して愛用していました。その後、僕自身がRoland/BOSSの仕事に関わるようになるとは…。当時は夢にも思っていませんでした。


3 件のコメント:

  1. ずっと気になっていたのですが、こういった機材の知識はどうやって手に入れるのでしょうか…?
    自分で色々買い漁っていじっていくうちにわかるようになるものなのでしょうか
    僕は機材に疎いので、もっと勉強しないと…と思いながらもどうしたらいいかわからない状態でございます

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    1. 遅くなってしまい申し訳ありません。
      上記の件ですが、雑誌やネットを読むことでも情報は得られますが、実際に機材に触って感じた疑問点を身近な人に質問して教えて頂いたことも多いです。音楽そのものを楽しむことが第一のような気もします。

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    2. やっぱり実際に触るのが一番わかりやすいですよね~

      弾いてるところなど拝見すると、中野さんは本当に音楽を楽しんでるだなとよく伝わってきます
      僕も楽しむことを第一に頑張っていこうと思います!
      ありがとうございました!

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