2013年4月5日金曜日

テレキャスター・コンプレックス

以前からフェンダーUSA製のテレキャスターを所有していないことで、

「自分にはこのギターについて語る資格はないな~」

と残念に思っていたんですが、遂に購入してしまいました。購入前にいろいろ悩んだり、購入時に多くの楽器の試奏できたのも、自分にとって楽しい時間となりました。

まずは資料を調べてみることから。ストラトに比べるとテレキャス関係の書籍って少ないんですけど、シンコー・ミュージックの「テレキャスター・オーソリティ」っていう本がかなり参考になりました。テレキャスターというギターに対する誤解がいくつかあると思うのですが、この本でわかったことをまとめてみましょう。



テレキャスターに対してのよくある誤解

「誤解1」・・・テレキャスターはシャキシャキとしたカッティング向きのギターである

これは70年代のテレキャスターのイメージが強い人にありがちな誤解です。テレキャスは1969年にサーキットの仕様に変更があり、ターン数が大幅に減らされた上、ボリューム・ポットの値が「250kΩ」から一気に「1MΩ」に置き換えられたことによるものなのだそうです。後述するように、テレキャスターのサウンドは本来的には無骨なサウンドが特徴のギターと言えそうです。

「誤解2」・・・ボリュームを絞るとハイパスが効き、タイトなサウンドになる

これも1969年から70年代後半までの仕様。80年代以降は廃止されます。因みに同様の回路はPRSの「Custom 24」にも採用されています。僕のPRSはコンデンサーを外してしまいましたが。

「誤解3」・・・テレキャスターは1ボリューム、1トーンである

ストラトのサーキットが基本的には一環して同じ仕様であったのに対し、テレキャスは年代により様々な仕様が存在したらしい。「モダン」な回路は1967年以降のもので、それ以前は2つのピックアップのミックスができないものや、レスポールのようにバランスがとれるものもあったそうです。

テレキャスに関する私的レビュー

今回、沢山のテレキャスを試奏させて頂きました。そんな中でわかったことをまとめてみます。但し、本物のビンテージを弾いた経験はないので、あくまでカスタム・ショップ製だけの私的なレビューですけど。

テレキャスは大きく分けるとキャラクターが3種類程度に分けられると思いました。

1.後期型(67年~70年代)
これは前述の通りです。ストレートな70年代リイシューはほとんど無い一方、ハムバッカー搭載のカスタム、デラックス、シンラインなどのモデルは現在でも数多く生産されています。が、今回はパス。

2.中期型(59年~66年)
ローズ指板の仕様で、最近のロック系(特に日本)のアーティストが使用しているのをよく見掛けます。バインディング付きアルダー・ボディーの「カスタム・テレ」も有名ですね。サウンドはジャキジャキ、ガキガキとしたアタックに金属的な響きがミックスされたようなサウンドです。音を歪ませた時にも芯がしっかり残るので、ロック系のギタリストに好まれるのでは?試奏を行うまではこのタイプのものを購入するつもりでした。

3.初期型(51年~58年)
アッシュ・ボディ、メイプル指板の最もテレキャスらしいルックスのモデルですね。サウンドは「2」と全く異なります。ロック的な芯のあるサウンドではなくてもっと「木の感触」が強いパキパキ、コリコリとした独特の音です。54年までのモデルはサドルがブラス製なのが特徴です。


候補に残った4本の写真。左から、A.マスター・ビルダーのシェリル・クロウ・モデル、B.カスタム・ショップ製のアメリカン・デラックス、C.ローズ指板仕様の59年製レリック、D.51年仕様のノーキャスター・リイシュー。どれも素晴らしい!

で、今回買ったのは…

写真の1番右のモデルを購入しました。ブロードキャスターからテレキャスターに至る過程のいわゆる、51年製「ノーキャスター」と言われるモデルのレリック・リイシューです。驚くほど軽いアッシュ・ボディに極太のネックが搭載されています。今回このモデルを購入した動機はひたすら「好奇心」。いつも同じ価値観で楽器を選んでしまうと、モデルは異なっても同系統の個体に集中してしまいますが、今回はこれまでに所有したことのないベクトルのギターを敢えて選択してみたんです。

もう、嬉しくて毎日ずっと弾いてます。これでテレキャスに対するコンプレックスもひとまず解消。でも、「レスポール・スペシャル・コンプレックス」や「ES-175・コンプレックス」や「グレッチ6120・コンプレックス」を解消できる日はいつかやって来るでしょうか?(笑)



2 件のコメント:

  1. funkydandy:
    プロの中野さんとどアマチュアの僕を並べて語るなんておこがましいかぎりですが…、実は僕も、ずーっと気になっているのに手を出してこなかったのがテレキャスターなんです。

    仲間といっしょに日がな一日ギターのカタログを眺めていた中学生の頃、「なんかカタチがダサい」「ヘッドがカッコ悪い」とさんざんコキ下ろしていたのもテレキャスターでした(苦笑)。

    傾倒していたHR/HMの分野にテレキャスを使っているプレイヤーがほとんどいなかったこともあって、横目には見ていても、手にするまでには至りませんでした。


    ところがここ十数年、そのサウンド、使用しているミュージシャンのプレイにハッとさせられることが多くて。

    中野さんのブログを読んで、ますますテレキャスターに惹かれている自分を自覚させられました。

    テレキャスター、一本欲しいっ!

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    1. そうなんです。それまで気にも留めていなかったのに、気が付くとテレキャス使いのギタリストが目に付くことったら…。

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