2011年6月21日火曜日

憧れのライブハウス

1979年頃、つまり20歳位の時の僕の最大の目標はライブハウスで演奏することでした。まだその頃のライブハウスはチケット・ノルマ制では無く、バンドとしての力量が問われることが多かったような気がします。テープ審査やオーディションがあり、アマチュアでは簡単には出させて貰えない時代でした。

それまでの僕は学園祭など、学校内のイベントでしか演奏したことが無く、僕にとってはライブハウスとは観客としてライブを聴きに行く場所。もし、出演することが叶ったら、もうギターに関しては思い残すことは無いと思うほど、本当に憧れていました。

そんなある日、大学の先輩のバンドが吉祥寺の小さなライブハウスに出演することを知り、観に行くことに。そのバンドは演奏もとても良かったのですが、僕が最も印象に残ったのはギタリストの足元のエフェクターに接続されたケーブルがガムテープで固定されていたことなんです。

その頃のアマチュアのライブは(今でもそうかもしれませんが…)、いくつものバンドが15分〜20分演奏してはセット・チェンジが行われるので、機材のセッティングを自分自身で素早く行わなければなりません。なので、ケーブルを固定するなんてことはワンマンのライブでなければできなかったのです。

そんなわけで、いつかは自分もライブハウスに出て、ガムテープを貼るんだ!と闘志を燃やしながら練習に明け暮れていた1980年頃、同じ大学に通うドラマーから学園祭で演奏するためのバンドに誘われます。その男はジャズ・ドラマーのジョージ川口さんの息子で川口雷二といい、学生離れした凄い演奏をすることで既に学内では有名でした。そんな彼から誘われるのは光栄だと思い承諾。そして、学園祭での演奏は無事に終了。楽しかったですけど、僕はその場限りのセッションだと思っていました。

ですが、その年末に「ライブハウスの出演が決まったから」と連絡を受けました。当然、僕は驚喜して「で、どこのライブハウス?」と聴くと「六本木ピットイン」と言われビックリ!当時、ジャズ・フュージョン系の一流のアーティスト達、例えば、カシオペア、スクエア、プリズムなどが日替わりで演奏するような店で、僕にとっては正に「観客として行くべき場所」。「嬉しい」というよりも「恐怖を覚えた」印象の方がずっと強かったと記憶しています。


リーダーの名前から「ハングライジ」といういい加減なバンド名を名乗り、それから約3年間、六本木ピットインには毎月のように出演させてもらいました。この期間に学んだことは本当に多く、この時の経験が無ければ今の自分は無いと断言できます。残念ながら六本木ピットインは2004年に閉店してしまったそうですが、思い出の場所が無くなってしまうのはやはり寂しいものですね。

当時のスケジュール表です

その後、1983年にレコード・デビューを果たすことになりますが、「ハングライジ」では様々な経験をさせてもらいました。書いてみたいこともいろいろあります。読んで頂いている皆様に面白い話かどうかはわからないでのすが、その辺はまた改めてということで…。


で、初めてのライブハウスでガムテープを使ったかどうかは、どうしても思い出せないのです…。それ位、緊張していたんだろうな−。

6 件のコメント:

  1. 初めてのライブハウスは確かに緊張しました。
    なんとかDVDとして残ってますが、恥ずかしくて恥ずかしくて見れたモンじゃありません・・・w

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  2. 僕はカセットで一応残してありますが、たぶん一生聴く機会はやって来ないのではないか、と思っています。

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  3. 70年代の音楽シーンは「選ばれし本物たち」が活躍した憧れの時代です。
    中野さんもあの伝説のピットインで演奏されていたとは、
    誇れる歴史ですね。
    ピットインと言えば、山下達郎さんのライブ盤が忘れられません。

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  4. コメント、ありがとう御座います。
    ピットインで演奏できたことは本当に幸運だったと思っています。

    達郎さんのライブは「Joy」のことでしょうか?素晴らしい演奏が収められたライブ盤は、僕にとってもバイブルのような存在です。

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  5. いままでKANさんのステージでのセンパイしか知りませんでしたが、今回のようなお話、とてもおもしろいです。続きもぜひお聞かせください。1983年頃は私も学生でしたが(;゚∀゚) 、それからずいぶん時が経ったような、でもつい最近のような、妙な感じです。

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  6. そう書いて頂けるととても嬉しいです。
    今後も頑張って書いていくつもりなので、よろしくお付き合いください。

    さすがに80年代は「だいぶ前」と感じますが、90年代以降は「つい最近」と思ってしまう時も多いですね。

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